2022年6月10日勉強会レポート システム導入プロジェクトの作成物について

社内勉強会

2022/06/10に行った勉強会「システム導入プロジェクトの作成物について」のレポートと感想である。プロジェクトにより違いはあるが、一般的な作成物について紹介する。

 

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目的

システム導入プロジェクトでは、ドキュメント等の作成物が多く作られる。その理由は以下の2つが上げられる。

①行うべき作業・行った作業を形にするため

形にすることにより、関係者と認識を確認することや、作業の結果を残すことができる。また、ユーザーから承認をもらい、お金をいただくことにもつながる。

 

②次の仕事を進めるため

プロジェクトは長期にわたるものが多く、作業内容によってフェーズで区切られている。まず大きい粒度から徐々に細かい粒度へと深堀していくといった形で進められ、フェーズごとに応じた作業を行い、その次のフェーズにつなげるために作成する。

 

作成物の種類

システム導入プロジェクトで作成される資料は以下のようなものが挙げられる。

 

全体像

システムを導入するための要件・範囲・関係性を確定するために作成される。

RFP…Request For Proposalの略語。ユーザーがベンダー宛に提出する書面を指し、発注要件が記載されている。

システム全体図…ユーザーのシステムの構成や、データの流れなどを図で示したドキュメント。

テーブル関連図…システム内にあるテーブル同士の関係性を図で示したドキュメント。

 

方針系

プロジェクトについて、認識のブレやバラつきを防ぐため定めるガイドライン。

PJ方針…プロジェクトの目的・達成すべきこと・プロセスといった方針を記載したドキュメント。

権限方針…システム内のデータ等を管理するため、利用者や閲覧者の権限の範囲を定めるための方針を記載したドキュメント。

移行方針…旧システムから新システムへ移行作業を行うとき、どのような目的・意図によってどのように行われるのかといった内容を記載したドキュメント。

 

一覧系

下流工程へ進むとき、工数の増加や手戻りをなくすため、テーマごとにリストアップを行い、対象を確定させた一覧。

システム一覧…登場するシステムを記載した一覧。

業務一覧…ユーザーの業務を網羅的に一覧化したドキュメント。システムに反映させる部分とそうでない部分の整理を行うために使用される。

機能一覧…業務一覧から対象のシステムに当てはめるため、システムに配置する必要のある機能を一覧化したドキュメント。

Fit & Gap一覧…機能一覧にある機能が実際にシステムに反映できるかできないか、システム標準にあるかないかを切り分ける一覧。

追加開発一覧…システム標準に存在せず、追加で開発する必要のある機能を一覧化したドキュメント。

テーブル一覧…システムに登場するテーブルを一覧化したドキュメント。

コード一覧…定められているコード、その内容説明などを一覧化したもの。

 

設計書系

これまでの全体像・方針・一覧系で定めたものを基に、設計を行うために作成するドキュメント。

概要設計/詳細設計、外部設計/内部設計…追加開発を行う部分に対して作成される。プロジェクトによって呼び方は異なるが、同じ意味である。

権限設計…権限方針によって定められた内容を具体的にどのようにシステムに反映するか示すために作成される。

 

定義書系

実体があるものに関して定めた内容を表記したドキュメント。

コード定義書…コード一覧によって定められた内容を具体的に定義したドキュメント。

テーブル定義書…テーブル一覧に登場しているテーブルそれぞれについて、保持する情報・項目・型・桁長などを定義したドキュメント。

パラメータ定義書…パラメータ設定を具体的にどのように行うかを定義したドキュメント。

 

その他

議事録…導入プロジェクトで情報共有・方針・意思決定を行うといった目的によって行われた打合の内容や取り決められたことなどを記録し、関係者などと共有するための記録。

各種変換表…旧システムから新システムへ移行するとき、コードが変わったものなどの対照表。

用語集…プロジェクト固有の用語や、ユーザーの業務用語をまとめた一覧。

テスト仕様書…定義した通りにシステムが動作するかを確認するため、テストを行うポイントや手順をまとめたドキュメント。

テスト結果…テスト仕様書をもとに行ったテストの結果をまとめたドキュメント。

操作マニュアル…システムの説明書。

 

まとめ

プロジェクト導入における作成物の数はとても多いが、この目的はプロジェクトを進めるためであり、資料を作成することを目的としてはならない。作成物は目的を達成するための手段の一つである。

ユーザーは、システムを利用することによって、得られる良い未来のためにシステム導入を行い、我々ベンダーにお金を払ってくれる。その目的を達成するための手段であることを常に意識する必要がある。

 

感想

これまでもシステムのことについて勉強し、設計書作成・実装・テストと実務的な部分を行うことはあったが、システム導入プロジェクトという1つの単位で見ることはなかった。そのため今回の勉強会でここまで大量に作成物を作るということを初めて知った。プロジェクトが長期で行われるということは理解していたが、何が行われるかといった具体的な面における理解が全くできていなかったため、今回の内容はかなり衝撃だった。

私は何かしらの資料を作成するとき、資料を作ることが目的になっていると指摘を頻繁に受けることが多いため、何が目的であるのかを毎回考えることをより一層意識する必要があると感じた。

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