2022/1/18に行った勉強会「伝える力」についてのレポートと感想である。
今回の勉強会では、信頼を得るための基礎力の一つである「伝える力」についてであり、「正しく伝える」という行為に必要な概念を理解する目的で行われたものである。
伝える力とは
「伝える力」とは、アウトプットを行うことであり、コミュニケーションの一部である。
「伝える」という手段は「話す」「書く」に分類され、この二つは「伝える」という意味では同じだが、それぞれ伝え方のポイントは異なっている。
「話す」とは、目の前に人がいるいわゆる対面の状態で行われ、1対1や複数人での会話・会議・プレゼンテーションなどを指しており、「書く」という行為の前に行われることが多い。
「書く」とは、手紙やメール、レポート、資料などを作成する行為を指す。「書く」という行為は文書だけで正しく伝える力が必要であり、「話す」よりも難しい。「話す」場合、表情・雰囲気・声の大きさ・身振り手振りなど補足という力を借りながら伝えている。しかし「書く」という文面ではそういった力を借りることができず、文書や資料を作成した際に正しく伝えられないという問題が起きやすい。
「話す」と「書く」はどちらも重要であるが、まずは大前提である「伝える力」とはどういったものかについて掘り下げていく。
伝える上で重要なポイント
事実や意図が抜け漏れ誤りないものであること
まずは自分から伝えるべき事実・意図が100%伝えられているかが重要である。
「そういうつもりで言ったはずではなかった」という場面が今まであったかもしれないが、それは100%伝えられていない可能性が高い。
もちろん相手の「聞く力」の度合いにもよるかもしれないが、まずは自分自身が正しく事実・意図を100%伝えられること。
生産的であること
「伝える」という行為において生産的であることは重要な意味を持つ。生産的とは、必ずしも直接的に金銭的価値を生み出すという意味ではなく、問題の解決やその助けとなることも含む。
会話や話合いにて何も解決しない、解決の助けになるものが生み出されない「伝える」という行為は時間の無駄である。
「伝える」という行為において、生産的でない場合、その多くは自己満足・発散であり、相手のみならず自分自身に対してもリスペクトがない行為となってしまう。
単なるコミュニケーション
コミュニケーションは信頼を得るためのプロセスの一つにもなる。
信頼には年収や社会的地位のような測定可能なものもあれば、人柄や人間性という測定不能なものがある。測定可能な要素がない場合は特に、まず信頼関係の構築を行う必要がある。
コミュニケーションを取った回数や時間の長さが好感度や信頼感に影響を与えることは、研究や実験によって明らかとなっている。つまりコミュニケーションとは相手からの信頼性を高める作用もあり、コミュニケーションを取ること自体に目的があると言える。
特にプライベートの会話や雑談においては、必ずしも生産的である必要はなく、ただ話すことやただ聞くことで関係性の構築や強化を行うことは多く、ここでいう単なるコミュニケーションとは、その位置づけとなる。
「伝える力」の三大要素
三大要素【自分・相手・場】
- 自分…その名の通り自分自身のこと。「伝える」ということは自分から自発的に発信しており、相手にリスペクトを持つことが大切。
- 相手…伝えるという行為に必ず必要なもの。一人の場合や複数人、また不特定多数の場合もある。
- 場…物理的な場所、タイミング、ビジネスorプライベートや真面目な雰囲気or砕けた雰囲気というシチュエーションのことを指す。
「伝える」ということは、自分から自発的に発信することからはじまり、必ずそれを認識してくれる相手が存在し、その時の場の雰囲気・状況によって伝え方は変わってくる。
三大要素と伝えるために必要なエッセンス
【自分】
テーマ…伝えたい物事のテーマを明確にする。
テーマを明確にすることで目的を伝えることができる。テーマが明確でない場合、相手から「何が言いたいのか分からない」、と思われてしまう。自分が伝えたいことのテーマをまず明確にすることが重要。
メッセージ…テーマに対する中身。
テーマだけを伝えても何故というメッセージ性がないため伝わらない。テーマとメッセージはセットである。
エビデンス…客観的事実や根拠があるか、証明されているかどうか。
メッセージに客観的事実・根拠があるか否かの違いはとても重要である。これらが無かった場合、自分の思い込みや固定観念から偏った意見を出していることが多い。もちろん全てにおいてエビデンスが必要とは限らないが、エビデンスがないことを自覚すること。
そして用いたエビデンスが、自分の都合のいいものではないかという疑いを持つことも重要。都合のいい部分のみを切り取ったものは結局偏ったものになってしまうからである。
【相手】
立場や属性…性別、年齢、上司・部下といった相手の基本情報
相手の立場などを考えることで伝え方が変わり、物事を効率的に進めることが可能になる。さらに人間関係・信頼の構築に優位に働く。
関係性…会社の人、友達、家族なのかなど
伝える相手との関係性を把握する。関係性によって説得力のあるテーマやメッセージの伝え方は異なる。
人数…一人に対してなのか、複数人なのか、不特定多数なのか
相手の数によっても伝え方は変わってくる。1人であればその相手が興味のあるもの・決められるものなどにフォーカスを当てた伝え方ができる。しかし人数が増えた場合、個人個人のケアは不可能になるため、相手全体の目的に沿って共感・納得してくれる伝え方になる。
【場】
対面か非対面か
対面とは同じ空間にいるということであり、直接顔を見ながら伝えることや資料の説明が可能である。非対面とはリモート会議や授業、資料を渡して相手に読み込んでもらうこと。対面であれば相手の空気感・リアクションを感じることができるが、非対面の場合は難しいため伝え方を変える必要がある。
ビジネスかプライベートか
「伝える」上で生産的であることが重要と伝えたが、これは場の状況にもよる。
ビジネスの場合、仕事を通して利益を生み出すために行っており生産性に大きく関わるが、プライベートの場合、常に生産性を気にする必要はない。気にしすぎると面倒な人間とカテゴライズされる可能性もある。
ビジネスなのかプライベートなのかによっても伝え方、内容などは変わってくる。
フォーマルか否か
いわゆる冠婚葬祭やパーティー、展示会など。ビジネスにおいてもプライベートにおいてもフォーマルな場では節度が必要である。
もちろんフォーマルでないビジネスの場合でも節度は必要だが、フォーマルな場と同じレベルで堅苦しすぎるのもあまり良いとは言えない。
まとめ
「伝える」とは、上記を踏まえて行うということである。自分というテーマ・メッセージ・エビデンスを前提に、相手・場によって伝える手段・伝え方を考え、伝えることを発信していくという行為を意識しなくても行えるようになる必要がある。「伝える」という行為の反復を行い定着させ、そしてそれを活かせるようになることで「伝える力」が最大限に発揮されるものである。
感想
基礎力についての勉強会はこれまでもやってきたが、「伝える」というアウトプット行為は特に難しいなと感じた。
これまで資料やレポートの作成を行ってきたが、話の順番が間違っている、つながりがないなどと多く指摘されてきた。
資料作成は目的ではなく目的達成のための手段であるという認識はあったものの、相手や場に対しての配慮は低かったのではないかと気づいた。
もちろん自分におけるテーマ・メッセージ・エビデンスもまだまだ薄いものであるため、まずは意識的に伝えるということに対してエッセンスや要素を意識し、「伝える」という行為をしてこうと思う。
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