はじめに
IT化により身の回りが便利となった現代社会において、数の計算はスマホやパソコンを利用して行うことが当たり前になってきています。
そんな中でこの記事を書く目的は、デジタル化が進む今だからこそアナログな計算機であるそろばんの魅力とその検定試験の概要を知り、少しでも興味を持ってほしいと思ったからです。
今回はその魅力や概要について、そろばん検定試験の1つである珠算検定試験1級に合格した僕の当時の体験を添えて書いていきたいと思います。
受験までの成り行き
まず、僕がそろばんを習い始めたのは小学校1年生の時でした。
そもそも自分からやりたいと言ったわけではなく、習い事の1つとして半ば無理やりやらされていました。
これは後から聞いた話ですが、そろばんをさせた理由は父親が小さかった頃に習っていなくて苦労したからだそうです。
ある程度そろばんでの計算に慣れてきた頃に、当時通っていたそろばん教室の先生から検定試験というものがあるから受けてみないかと言われました。
当時は資格という考えはもちろん無く、学校のテストの延長のように考えていました。正直早く辞めたくて仕方なかったのですが、親に1級まで頑張ってみないかと言われたので受けてみることにしました。
そろばんについて
そもそも、そろばんとは暮らしの中の数を認識するために作られた中国発祥の道具で、日本には室町時代に初めて伝わってきました。
この型のそろばんは日本では主流なのですが本来のそろばんはもっと大きく珠の数も多い為、日本人が使いやすいように改良したものだと言われています。
そろばんは串にささっている珠(たま)を弾いて計算を行う道具で、上に1つずつ付いている五珠(ごだま)、下に4つずつ付いている一珠(いちだま)を組み合わせ各桁の0~9までを表現し、左にいくにつれて位が大きくなっていきます。
そろばん連盟について
日本では検定試験を実施している大きな連盟が3つあります。
日本珠算連盟(以下、日珠連)と全国珠算教育連盟(以下、全珠連)、全国珠算学校連盟(以下、学校連盟)です。
この3つの連盟ではそれぞれ行っている試験の内容や、費用が多少異なります。
簡単にまとめると、
全珠連は幅広い年齢層が受験し科目数が各連盟の中でも1番多い。
学校連盟は科目数においては各連盟内で1番少なく試験時間も長くて初心者向けだが受験料が少し高い。
という感じです。
より詳細な情報は各連盟のホームページを参照。
【日本珠算連盟 http://www.shuzan.jp/】
【全国珠算教育連盟 https://www.soroban.or.jp/】
【全国珠算学校連盟 http://shuzan-gakko.com/index.html】
そろばん検定について
ひとことでそろばん検定と言っても種類がいくつかあります。
珠算検定試験について
ここでは、僕が受験した全珠連の珠算検定試験についての概要を簡単に表で説明していきます。
10~15級で行う見取り算はAとBの両方を行います。
また、準3級からは科目数が増えますがすべてを身につける必要は無く、自分に向いているものだけを学べば良いので安心です。
教室か独学か
この検定の対策として、全国にある各連盟に加盟しているそろばん教室に通うか、独学で勉強するか、2つの方法があります。
この2つの違いを挙げるとすれば、独学の場合は問題集で分からないことがあった時聞ける人が傍にいないという事です。
当時僕は全珠連に加盟しているそろばん教室に通っていて、そこでは購入したテキストを使って勉強したり、先生が作ってくれた問題を生徒みんなで解いたりしていました。
問題を解き、分からないことがあれば聞き、また問題を解く。教室ではこれの繰り返しでしたが、独学では分からない問題が出てきてからそれが解決するまでに時間が掛かってしまいます。
これは教室と独学の大きな差だと思います。
厳密に比較することはできませんが、いまはネットを探せば過去の問題集なども手に入るようですし、勉強方法を教えてくれる動画なども挙がっています。
僕が教室で使っていたような教材もネットで購入することができるみたいなので、独学でもある程度の級位に受かるだけの力は身につくでしょう。
ただここで勘違いしてほしくないことは、独学での1級合格が目標となるとそう簡単ではないという事です。
ネットに公開されているものがすべての科目に対応しているわけではありません。
故に避けるべき科目を決めましょう。おすすめは開法です。
この科目はネット上に問題が少なく、問題自体が複雑で教室に通っていた僕も当時は苦労したからです。
したがってこの科目は独学での対応が難しいと思われるため、避けるのが無難でしょう。
もう1つ違いを挙げるとすれば試験を受ける際に、教室に通っている場合はその教室が試験会場になるのに対し独学の場合は各連盟が指定した会場まで行かなければいけないという事です。
指定された場所とは具体的に各連盟の支部ことで、これは全国に存在するのでわざわざ隣の県まで行かなければいけないなんてことは無いと思うので安心です。
全国に存在する支部については、前述の各連盟のホームページから確認することができます。
勉強道具について
次に勉強道具であるそろばんについてですが、購入はネットでもできますし、教室に通うならその教室の先生からおすすめされた物を買うことになるでしょう。
僕はこのお店で買ったそろばんを使っていました。
このサイトに載っている安いもので4,000円、このサイト以外にも探せば2,000円程の物もあるようなので始めやすいと思います。
逆にものすごく高いものなどがありますが、それは使っている素材が特に良いものだったり、スタンダードなそろばんよりも多少サイズが大きかったりするだけなので、特にこだわりが無ければ安いもので済ますのが良いと思います。
勉強時間
勉強時間についてですが、先に僕は教室に通っていたと言いましたがそこへは週5日通っていました。
ですが1日1時間だけで、月に15時間程度でした。
僕は1級を取るまでに4年間通っていたので合計で約720時間かかったことになります。
正直勉強時間の目安などは分からないのでこれが多いのか少ないのかは比較できませんが、仮に1級合格が目標となるとこれだけの時間が掛かるのは当然だと思います。
級位が低い時の試験科目は単純な計算が多いのであまり時間はかかりませんが、試験科目が増えた時にそれぞれの科目にかける時間も変わってくると思うので、効率よく計画的にそれぞれの科目を勉強していきましょう。
勉強方法について
具体的な勉強方法ですが、複雑な方法は特に無くひたすら問題を解いていきます。
同じ問題集を何回も繰り返し行うことでその問題に慣れてきます。
科目数が増えた際に開法という科目が出てきますが、前述の通りこの科目は全科目の中でも特に難しく、他の科目よりも時間をかけていた覚えがあります。
試験合格だけが目標の場合は、開法以外の科目で試験に挑む方が無難でしょう。
これから受験する方へ
ここまで長々と書いてきましたが、この検定への対策方法はいくつかあってそれぞれ計画的に進めれば必ず各級位や段位に合格できます。
この検定の難しいところは科目数が増えてからだと思うので、増えた科目に対しての対策さえしっかりしていれば大丈夫です。
教室に通うのと独学とではいくつか異なる点があり、1つの級位を取得するまでにかかる時間にも差が生じるかもしれませんが、基本的な勉強方法は変わらないので、1つの科目に対してどれだけ沢山の問題を解いてきたかが試験の結果や試験当日の自分の自身にもつながってくるはずです。
また、最近では体験入学をやっている教室も増えてきているので、通いで始めたいという方も独学でという方も近くのそろばん教室を調べて雰囲気を味わうのも良いと思います。
最後に
そろばん検定試験は資格としての価値は他の物に比べればさほど大きいものではありませんが、日常生活での基礎的な計算力の向上には必ず役に立ちますし、取っておいて損はない資格だと思います。
特別大きな能力が身につくわけではないですが、確実に自分の力になります。
ここで学んだことはきっと他のことでも役立つはずです。
これは僕が勝手に思っていることですが、そろばんは数字をより鮮明に可視化させてくれるものだと思っています。
紙に書いた数字より、そろばんに弾いた数字の方が理解しやすく計算しやすいです。
単に計算ができるようになるだけではなく、数字に対しての理解が深まります。
もちろん常にそろばんを持ち歩くわけにもいきませんが、そろばんの科目に暗算というものがあります。
頭の中にそろばんをイメージしてそれを使い5桁×5桁などの計算をしていきます。
これは日常生活でもこの検定を受けて身についたことを存分に発揮できる科目です。
伝票算についても、限られた時間の中でたくさんの数字を瞬間的に計算しなければならないので頭の回転が速くなるといわれています。
僕はもともと算数が嫌いでしたが、そろばんを習ってからはむしろ得意になりました。
そろばんと聞くと子供の習い事というイメージが強いですが、大人になってからでもまだまだ受ける価値はあります。
この記事を通して少しでもそろばんの魅力を伝えることができ、読んでいただいた皆さんに興味を持っていただければ幸いです。
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