留学している間に、かつてのアルバイト先の日本人から「中国には自動車はあまり走ってないですね」ということを言われたことがある。日本人の友人から「中国金持ちが多い」ということも言われたことがある。日本人の中国の社会に対するイメージは多少の偏りがあると思うので、この記事を通して、中国の社会·経済の実態を正しく知ってもらえたら嬉しいと思う。
中国都市のレベル分け
WEI (Warton Economic Institute)はGDP総量ランキング1~110位の都市の中から貯蓄、金融,環境、科学、教育、文化、健康面でレベル分けをし、研究する機構である。以下はWEIが2022年に新たに発表したシティランキングである。
その表によると
- スーパーレベル1の市:北京(得点95.23)、上海(得点91.38)
- レベル1の市: 深セン、広州、杭州、南京、蘇州、武漢 (得点70以上)
- 予備レベル1の市:成都、天津、重慶、無錫、寧波、済南、長沙、青島、鄭州(得点60以上)
- レベル2/レベル3の市:合肥、福州、西安、仏山、南通、大連、常州・・・・・(得点60以下)
・スーパーレベル1とは各指標が最もバランスよく、発達が国内で一番強い都市
・レベル1とは経済基盤が強く、交通が便利、独特の都市の魅力がある都市
・予備レベル1は発達が期待できる都市
・レベル2/レベル3とは貯蓄、金融,環境、科学、教育、文化、健康面の一面や多面がまだ未発展の都市
東京と東京まわりのある街を例にすれば
中国のスーパーレベル1の都市は東京の港区みたいな都市であり、レベル1の都市は横浜みたい、予備1レベルの都市は埼玉市みたいと思う。しかし、中国の一つの市の面積は非常に広くて、市の中は全て経済・環境が同じではない。例えば、上海は日本人が知っている都市として、内部・中部・外部地域と分けられている。内部は港区みたいな中心地で、中部は横浜みたいで、外部は埼玉みたいである。それは中国のスーパー1レベルの都市が、レベルが下がるほど、都市ごとに内部・中部・外部の経済・環境のレベルも順次に落ちている。
都市ごとの平均収入と物価
中国の大都市(スーパーレベル1とレベル1)は平均収入と物価、両方とも高い。たとえば、上海の平均月収は11396元(大体月23万円),物価は中国全国中の高いレベルであるが、日本よりは極めて低いと思う。贅沢品を除いて生活のために月10万を費やす人を例にすれば、同じものを上海で買ったら、半分安くなると思う。
レベルが低い都市の平均収入と物価は、両方とも低い。例えば、甘粛というところでは、平均月収は僅かな2000元ぐらいである(大体月4万円)。もちろん、月収が低い一方物価も極めて低い。しかし、収入はただ生活最低限度を維持できることであり、贅沢品は全国で同じ値段である。
大都市はたくさんの職場が提供されるので、大都市に移動する人が近年からどんどん多くなった。
日本と中国の田舎の違い
東京都の王子市を例にすれば、基本設備は完備していると思う。ショッピングできるところは少ないが、地域の中には少なくとも一つの大きなショッピングセンターがある。私は東京でも田舎と言われる地域に住んだことがあるが、スーパー・病院・コンビニなどが揃っている。不便だが、基本生活はできると思う。ところが、中国大都市まわりの田舎では病院やスーパーなど基本設備はあるが、大型のショッピングセンターやコンビニは決して存在しない。レベルが低い都市まわりの農村は下の図のようである
車が走れる車道もない。子供は学校に行くため、山をいくつのぼる必要もある。基本は自宅で豚・鳥や野菜を育てて食べるか、週に一回歩いて都市に行くかで生活を維持している。近年は日本と同じく、それらの地域は中高齢者がいっぱいで、若者たちは都市に行く傾向がある。
イメージと実態
以下はいくつか日本人が中国に対するイメージについて、Q(質問)―A(答え)の方式で中国の実態を紹介する。
Q:「中国には自動車はあまり走ってないですね」
A:上で紹介した様に貧乏な農村は車道もなく、自動車は走れない状態であるが、多くのところは自動車がいっぱい走っている。ちなみに、日本のタクシーは料金が高く、電車・バスより利用者数は低いが、中国は近年から私車をタクシーとして運転する人が非常に多く、普通のタクシーより料金が安いので、中国にはその方式で移動する人も多い。
Q:「中国は金持ちが多い」
A:こんなふうに思う人は、多分近年から中国人が国外で爆買いするというニュースが多く目に入ることが原因と考えられる。爆買いという行為は、実は代理購入なので、中国人の多くは、もちろん需要量も多いと考えられる。しかし、一人当たりのGDPと見ると、中国は低い。中国はお金持ちの数は多いが、全人口に比べると割合は低いと思う。
Q:「中国政府の権利が強すぎて、民衆の権利は低い」
A:中国人の私でも、同じことを考えている。中国は一党制なので、権利の集中はしょうがないことになってしまう。しかし、私は海外に住む経験もあり、どこでも権利というものは立場が高い人が握っていると考えている。しかし、権利より中国人の自由度は他国より低いと思う。たとえば、中国で外国のVPNを使わないと、YouTube、Twitterなどは見えない。
終わりに
日本の人口は東京に移動している傾向があり、中国の人口は各市の中心部に転移し、また、GDPなどレベルが高い都市に転移する傾向がある。大都市の中心部は東京みたいな経済・社会発展であるが、地域の貧富差も日本より大きいと実感している。この記事を通して、みんなが中国に対する印象変わりますか。
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