はじめに
大学生や社会人の方ならTOEICという名前を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
聞いたことはあるけど、実はよくわからないという人のために、この記事ではTOEIC試験の概要や対策方法をご紹介していきます。
ちなみに、先ほどから私がTOEICと呼んでいるのは正式にはTOEIC L&Rのことで、いくつかの種類があるTOIECテストのうち最も一般的なものです。このTOEICの種類についても、のちほど詳しく解説していきます。
受験のきっかけ
TOEICを初めて受験したのは、大学入学時、18歳の時です。
大学の英語クラス分けテストとしてTOEICの受験が必須でした。
また、その後も何度か受験しているのですが、クラス分け以外の場合だと、就職活動に使用するためというのが主な目的になります。
就活の際にTOIECのスコアは必須ではありませんが、私は英語力をアピールしたかったので高スコアを狙って受験しました。
TOEICについて
TOEICは Test of English for International Communication の略称で、一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)に運営されている「日常生活やグローバルビジネスにおける活きた英語の力を測定する」テストです。
TOEICの種類
試験の詳しい内容に行く前に、まずはTOEICの種類についてです。
TOIECには、4つの種類があります。
TOEIC L&R(Listening & Reading)
いわゆる”TOEIC”で、一般的にTOEICという場合にはこのL&Rを指していることがほとんどです。
この記事で扱うのも、このTOEIC L&Rで、これを指してTOEICと表記します。
2019年の受験者数はおよそ220万人で、その約半数が、企業や大学などの団体が所属者を対象に実施する受験制度である「団体特別受験制度(IP:Institutional Program)」を利用して受験しています。
また、受験者の半数ほどが学生です。
TOEIC S&W(Speaking & Writing)
L&Rに対して、「話す(Spearking )」「書く(Writing)」という英語のアウトプットに特化したのがS&Wです。
まだまだ知名度は高くないですが、毎年4万人程度の受験者がいます。
TOEIC Bridge L&R(Listening & Reading)
一般的な方のTOEICと異なるのは、英語初級者向けの試験内容であるというところで、中学レベルの文法や単語で、基礎的なリスニング・リーディングスキルを測ります。
2019年6月から新形式になっています。
TOEIC Bridge S&W
こちらも同じくBridgeシリーズで、初級者向けのスピーキングとライティングのテストです。
Bridgeテストは現状、ほとんどが団体特別受験制度を利用した受験者なので、中学などの教育機関で学習成果を測るために利用されているのではないかと思われます。
TOEIC L&Rの概要
それではここからは、いわゆる”TOEIC”、つまりTOEIC L&Rについて、試験についての詳細を説明していきます。
試験はリスニング100問を約45分間、リーディング100問を約75分間で、合計およそ2時間の試験で、全てマークシート方式です。
詳しい試験の構成や、サンプル問題はこちらからご覧いただけます。

TOEICの結果は、10〜990点の5点刻みのスコアとして表示され、合格や不合格という概念はありません。試験結果のスコアにより能力が証明されるという考え方です。
そして、このスコアについては、統計処理によって算出されているので、単純な正答数だけでスコアが決まっているわけではありません。
また、問題冊子はその場で回収されてしまうので、後から自分で自己採点することは出来ません。
平均スコアはテスト回によって異なりますが、620点前後が多く、リスニングが330点前後でリーディングより高めの傾向です。
開催頻度は地域にもよりますが、1,2ヶ月に1回ぐらいの頻度で開催されていて、受験料は6,490円です。
受験料が割引されるリピート受験割引制度というのもあります。
*リピート受験割引制度
受験から1年後の同月から3ヶ月以内に実施の公開テストが割引価格で申し込むことができます。
割引価格は5,846円です。
割引サービスを利用して受験した場合、さらに翌年も同条件で割引価格での受験が可能です。
つまり、「1年ごとぐらいに受験してくれれば、割引するよ!」ということです。
割引価格での申し込みには、前回受験時と同じIDでログインする必要があるので、忘れないように気をつけましょう。
現在、団体特別受験制度では、CBT(Computer Based Testing)方式が導入されていますが、個人で申し込んで受験数する公開テストでは、会場で行われる紙でのテスト形式のみです。
TOEICを受験する目的
もちろん、単純に自分の英語力をチェックするためにTOEICを受験する人もいるでしょうが、多くの人が具体的な目的があって、受験していることかと思います。
学生でTOEICを受験する目的として多いのが、入学試験でスコアを利用するため、卒業のため、就職活動で履歴書に書くためなどです。
私の場合冒頭で書いた通り、大学でのクラス分けがTOEICでしたし、それ以外にも英語での授業を履修する時や、ゼミに入るために一定以上のTOEICスコアが必要でした。
大学によっては卒業のためにスコアをとらなければいけない所もあるそうです。
この場合、もちろん必要なスコアは様々ですが、大学では700点ぐらいが目安になることが多く、私の所属する大学のゼミでも700点が求められました。
就職活動の履歴書においては、何点であっても書いていいのですが、自信を持って書けるのは一般企業なら600点前後、グローバルな企業であれば700点前後ぐらいからかなという印象です。
英語が得意というアピールとして受験する場合、800点は欲しいかなと思います。
次に社会人の場合ですが、主な目的はキャリアアップなどです。
新卒で〜ヶ月以内にTOEIC700点取れというような指示が出される会社もあるそうですし、昇進や海外赴任の条件としてTOEICスコアが求められる場合もあります。
直接的にスコアが必要でない場合でも、英語学習のモチベーション・目標設定としてTOEICを利用している社会人の方もいます。
このようにTOEICスコアは、様々な場面で使用される一方で、留学などの場面ではあまりTOEICのスコアを使用することはありません。
というのも、そもそも日本と韓国以外の国ではTOEICの知名度は高くありません。
また、TOEICはビジネス場面における英語力に焦点が当たっているため、留学で必要なアカデミックな英語力は測れないというのもあるでしょう。
留学の場合は、IELTSやTOEFLなど別の英語資格試験のスコアが求められる場合が多いです。
独学 vs スクール
TOEICで目標点に向かって対策するにあたり、独学で点数を上げる方法と、スクールなどでレッスンをうける方法があるでしょう。
もちろんスクールに行けば、きちんと継続して対策が行えますし、TOEIC対策のエキスパートから指導を受けられるため、学習効率は高いと思います。
また、短期間で大幅に点数を上げたい人や、事情があって絶対に期間内に点数を上げなくてはいけない人などにはスクールは安心感があります。
一方で、スクールのデメリットとしては料金が高いことです。
マンツーマンのTOEIC対策のスクールでは、入学金なども含め2ヶ月で20〜40万円ほどが相場なようです。
塾のように、グループレッスンを行っているところだと、比較的安価なところもあります。
個人的な実感としては、英語への苦手意識などにもよりますが、4年制大学卒ぐらいの基礎的な英語力がある方だと、700点ぐらいまでは独学で可能なイメージです。
時間に余裕があるのであれば、まずは独学で挑戦してみて、点数が上がらなさそうだったら、スクールに通うという戦略も良いかと思います。
勉強教材
私は独学でTOEIC対策をしていたので、対策本1冊と単語アプリを使用していました。
ちなみに、TOEICのサンプル問題(1回分)は公式HPで見られますが、過去問は公開されていないので、対策のためには問題集や対策本を購入する必要があるでしょう。
私は受験当時、大学受験の後で、継続的に英語の勉強はしていたのですが、英語とはしばらく離れていて、中学で習う文法にも不安があるようなレベルの方だと、TOEIC対策教材の前に、基礎文法の復習教材などを使用するとよいと思います。
対策用教材について、私は2つの条件で選びました。
1つ目は、「1冊で全パートの対策ができる」ことです。
Readingの文法に特化した対策本や、リスニングに特化した対策本もありますが、私はそんなに勉強する時間もなかったので、問題形式に慣れる目的で、TOEIC試験丸ごと対策できるタイプの教材を選びました。
また、CDや音声ダウンロードがついていて、本番と同じようにリスニングが練習できるものを選びました。
2つ目は「解説が充実している」ことです。
間違った時に、解説を読んで納得し、次回に活かせるようにしないと、問題を解いている意味がないと思ったので、わかりやすい解説がついている教材を選びました。
また、シャドーイングをしたかったので、リスニングも全文がついているかどうかもチェックしていました。
実際に購入したものとは異なるのですが、私が使用していたのはこういうタイプの教材です。
加えて単語についてですが、TOEIC対策においては、単語力を上げるのも非常に重要です。
例えばリーディングの短文穴埋め問題(30問)は、ほとんどが単語力で正答できるかどうかが決まります。
TOEICで必要となる単語はビジネス英語が多めなどの特徴があるため、TOEIC対策に特化した単語帳を使用することがオススメです。
私は移動中に単語の暗記をすることが多く、単語帳を持ち歩くのがめんどうだったので、無料のスマホアプリを使用していました。
また、教材選びでは、自分のレベルに合っているものを選ぶことも重要です。
対策本や単語帳によっては「〇〇点向け」などの目標点数が示されているものもあるので、自分のレベルに合ったものを選ぶようにしましょう。
加えて、TOEICは試験内容に改訂があったりもするので、なるべく最新の教材を使用するのがオススメです。
勉強方法
勉強方法としては、基本的に過去問を繰り返しやりつつ、移動などのスキマ時間で単語の暗記に取り組んでいました。
リスニング対策
まずは問題形式に慣れることを主な目的としていました。
選択肢が問題用紙にあるパートでは、音声が始まる前に、選択肢をなんとなく確認しておくなど、本番と同じように練習していました。
また、TOEICでは、複数のアクセントの英語が使われているため、特にアメリカ英語以外の普段聞いているのと異なる英語のアクセントに慣れることを意識していました。
その方法として、問題演習だけでなく、採点後に音声を改めて聞いたり、それに合わせて自分も発音したり、シャドーイングをしたりしていました。
シャドーイングとは、英文を見ずに、英語の音声を聞きながら、それを追いかける形で繰り返す英語の練習法です。
リーディング対策
リーディング対策では、特に、時間内で解き終われるようスピードアップに焦点を当てて問題演習をしていたので、毎回時間は測るようにしていました。
対策を始めてすぐのころは時間が足りなくて、最後の大問が解ききれなかったりしていたので、文書の問題では、問いに関係するところだけをしっかり読むことや、どこが問いに関係するかを見抜く練習を意識していました。
また、TOEICでは問題用紙に書き込みができないので、それも本番と同じように書き込みをせずに問題演習を行いました。
そして、解き終わって、採点したあとは、わからなかった単語や表現を確認するなど、きちんと毎回知識を蓄積していくことを心がけました。
最初にTOEICを受験したときの勉強期間は1ヶ月ほどでしたが、問題集に取り組みつつ、単語力を少し上げるぐらいでしたら、このぐらいの期間で十分かなと感じます。
一方で、必要な勉強期間と時間は目標によって様々だと思います。
大幅な点数UPを狙うのであれば、単語の暗記などを含め3ヶ月ぐらい、しっかり対策することがオススメです。
受験者へのアドバイス
TOEIC対策を行う際に意識して欲しいのは、目標点です。
昇進で必要など、既に目標点が決められている場合もあるでしょうが、そうでなくても目標点を決めて対策を行わないと、モチベーションも上がりませんし、何をどれだけやればいいかわからなくなってしまいます。
また、何をどれだけという観点では、自分の現状を把握することも重要です。
TOEICをしばらく受けていない、受けたことがないという人は、1度受験してみて、自分の現状を理解した上で、そこから目標点まで点数を上げるための対策を講じるのが最も効率が良いと思います。
おわりに
最後にお伝えしておきたいのは、TOEICの点数で英語力が完璧にわかるかというと、そんなことはないということです。
TOEIC L&Rで測れるのはリスニングとリーディングのスキルだけですし、同じ点数でも、英語がけっこう喋れるという人もいれば、全くという人もいたりします。
「英語力を上げたい」ということであれば、TOEICの点数だけに固執せず、日常で英語に触れたり、使ったりする頻度を上げるなど、普段から意識することがオススメです。
それの効果を測定する手段としてTOEICを利用することも出来ます。
また、英語はコミュニケーション手段の1つですので、TOEICの数を上げることだけでなく、英語を使ってコミュニケーションすることを楽しんでください!

新しいことに挑戦するのが大好き!インターン・資格・留学・英語などの記事を書いています。
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