はじめに
私は大学生の時に3年間、塾講師のアルバイトをしていました。
期待していた通りやりがいのあるバイトでしたし、自分も講師の経験を通じて成長できた一方で、大変だったこともたくさんありました。
この記事では、塾講師バイトの概要だけでなく、実際の経験を通じて感じたことを、お伝えしていきます。
塾講師をやろうと思ったきっかけ
私が塾講師を始めたのは大学に入ってすぐのころです。
子どもと関わる仕事に興味があり、自分の高校受験や大学受験の経験を活かせそうと思い、塾講師を志望しました。
どこの塾にするかはそこまで深く考えず、通学で利用する乗換駅にあった塾に応募しました。
塾講師バイトとは
塾講師バイトの役割は、その名の通り塾で生徒に教科指導をすることです。
ただし、塾にもいくつか種類があり、それによって講師の役割も異なります。
集団塾か個別指導塾か
集団塾では10人前後から数十人の生徒に対して、1人の講師が講義を行います。
教科ごとに担当講師が決まっており、名門塾などでは大学生でなく、プロの講師が講義を行っているところも多いです。
個別指導塾は、1人の講師が1〜3人程度の生徒に対して、個別に指導を行います。
1人の講師が複数教科を担当することが多いです。
それ以外にも、学習アドバイスなどを行うチューターや、家庭教師なども塾講師に近いお仕事です。
進学塾か総合学習塾か
次に、塾の目的について、進学塾なのか総合学習塾なのかという違いがあります。
進学塾は受験対策に特化した指導を行う塾で、ターゲットとする志望校のレベルも塾によって異なったりします。
一方、日々の授業の予復習や定期テスト対策、受験対策まで総合的に行うのが総合学習塾です。
また、教科特化型の専門塾なども存在します。
私がバイト働いていたのは、個別指導の総合学習塾でした。
塾講師バイトの選考
塾講師バイトに応募した後には選考があり、面接だけのところもあれば、面接と簡単な筆記テストを行っているところもあります。
私の働いていた塾では、高校受験レベルの筆記テストがありましたが、結果はあまり重視していない印象でした。
面接で見られるポイントとしては、コミュニケーション能力や人柄、意欲などです。
特に個別指導塾では、生徒に合わせたわかりやすい説明が出来ることや、生徒と信頼関係を築けることも重要なので、面接でもそういった点は確認されると思います。
そして、コミュニケーション能力と同じぐらい、またはそれ以上に重視されるのが、これまでの経験や指導可能な教科などです。
塾講師の経験がある人はもちろん評価されますが、それ以外に、受験経験なども評価されます。
特に中学受験は指導内容が特殊ですし、経験している人が多くないので、重宝されている印象でした。
また、私のいた塾では小学生から高校生まで生徒の学年の幅が広かったので、当たり前ですが、中学生までしか指導できない人よりは、高校生の数3まで指導できるような人が採用されていました。
極端に「英語しか指導できません」というような人は総合塾だと採用されづらいので、英語特化の専門塾や、教科担当制の集団塾に応募する方がオススメです。
これらに加えて、勤務可能な曜日や時間が少な過ぎる、現状で塾が講師を欲している曜日に出勤できない、等の理由で落ちてしまうなどもあります。
選考に学歴フィルターはあるのか?
塾講師バイトの選考には、正直学歴フィルターはあることが多いと思います。
これは、レベルが高い進学塾になればより顕著になります。
総合学習塾では、偏差値55ぐらいの大学であれば、面接をしてもらえる可能性は高いですが、バイトの応募がたくさん来ている時期などでは偏差値60前後の大学でないと、難しいかもしれません。
やはり年下の生徒といっても、自分の偏差値より圧倒的に高い学校を目指す生徒を指導するのは不可能なので、一定の学歴フィルターは仕方ないと感じます。
仕事内容
主な仕事内容は教科指導です。
個別指導塾の場合は、中高生ですと1コマ80〜90分ぐらいが一般的です。
講師1人対生徒1人という塾は稀で、一度に2~3人の生徒を指導しなければいけません。
私の働いていた塾では、3人の教科や学年がバラバラなことも多かったですし、学年と教科が同じでも進度が違っていたりするので、1人に説明している間、残りの2人は問題を解くような形で授業を進めていました。
また、授業が始まる前に準備も必要です。
前回どこまでやったか、何を宿題に出したかなどを確認し、宿題の解答を用意したり、授業で使うプリントを印刷したりします。
教えたことがなく授業前に確認するだけでは不安な教科は、自宅にテキストを持って帰って、予習をしたりもしていました。
それ以外にも、私の働いていた塾では事務を任されることもありました。
ただし、私は希望してやっていただけで、塾講師のバイトで事務仕事をしなくてはいけないということはあまりないと思います。
時給やシフト
塾講師のバイトでは、時給よりも1コマ〇〇円というのが多いです。
小学生よりも中学生、中学生よりも高校生への指導の方が、内容が高度であるため、1コマあたりの給料も高くなる傾向です。
時給換算すると個別指導塾だと1200円ぐらいから、集団塾だともう少し高い1500円ぐらいからが相場でしょう。
また、塾のシフトは曜日時間固定制のことが多いです。
理由としては、生徒も特定曜日の特定時間で通っているので、担当生徒を毎週担当出来るように、バイトの講師も固定になります。
どうしても用事がある時は、他の講師に代わりに出勤してもらったりしていましたが、頻繁に休んだりすると他の講師にも、生徒にも迷惑がかかるので、出勤日には出来るだけ予定をいれないようにしていました。
そして、塾は春季講習、夏期講習、冬季講習など、長期休みに講習期間があることが多いでしょう。
特に夏期講習の時期などは、授業が圧倒的にいつもより多いので、私は週5出勤するようなこともありました。
服装・身だしなみ
塾講師の服装は、男性はスーツ、女性はスーツかオフィスカジュアルということが多いです。
私服の上から白衣を着るという塾もあります。
やはり講師という立場上、派手な髪色や化粧、ネイル、アクセサリーなどは禁止されています。
服は出勤して着替えればいいので問題ではありませんが、髪色などは派手な色にしてしまうと、塾の講師は難しくなってしまうでしょう。
塾講師バイトのやりがい
私が感じた塾講師バイトのやりがいは3つあります。
生徒の成長を見守れること
生徒のテストの点数が上がったり、受験に合格した時は、やはり大きなやりがいを感じます。
それ以外の日々の授業の中でも、最初はほとんど話してくれなかった生徒が、長く担当するうちに色々な相談をしてくれるようになると、嬉しかったりします。
塾講師の主な役割は教科指導ですが、それ以外にも進路について相談を受けたり、学校生活について相談を受けたりもします。
そのような時に、講師としてだけでなく、少し年上のお姉さん・お兄さんという立場で、生徒を支えてあげられるのも、塾講師のやりがいだと感じていました。
自分も成長できること
教科の内容について理解が深まるだけでなく、わかりやすく説明する工夫や、生徒のモチベーションを上げるための工夫を通じて、対人能力が高まったと感じます。
どうしても宿題をやってこない生徒のために、楽しく宿題が出来るよう、その生徒が好きなキャラクターをプリントした、専用のテキストを作ったことなどもありました。
「6歳の子どもに説明できなければ、理解しているとは言えない」というアインシュタインの言葉がありますが、塾講師の経験を通じて、「わかってくれない相手」でなく、「自分の説明の仕方」に問題があると考えて丁寧にコミュニケーションをとるようになりました。
他の講師と仲良くなれる
3つ目は、大学生で塾講師をやる場合、他の講師も同年代の人が多いので、仲良くなれるということです。
「塾講師をやる人って真面目な人が多いんじゃ?」と思われるかもしれませんが、真面目でも一緒にいて楽しい人がたくさんいたので、プライベートの時間で遊んだり、先輩には相談にのってもらったり、一生付き合っていきたい友人が出来ました。
塾講師バイトの大変だったところ
塾講師バイトの大変だったところは4つあります。
給料と労働時間の見合わなさ
授業の時間は決まっていますが、授業コマ数に対してお給料が出るので、準備に多くの時間をかけても、給料は上がりません。
生徒のことを考えて、たくさん予習をしたり、定期テストの範囲に合わせてオリジナルの教材を作ったりしても給料は変わらないので損をした感じがします。
でも準備した分だけ、生徒の満足度や成績にはつながります。
どれぐらい準備に時間をかけるかは、常に葛藤でした。
また、夏期など講習の時期以外は、塾は17:00-21:00ぐらいだけですし、曜日も固定なので、シフト制のバイトのように、暇な時期たくさん働いて、忙しい時期は1週間お休みするといったことが出来ず、稼ぎにくいという問題もありました。
受験合格や成績アップへのプレッシャー
正直、週に80分だけ塾に通っただけで成績が飛躍的に上がることは、ほとんどありません。
なので、宿題をちゃんとやる習慣や、自分で勉強する習慣をつけることが重要なのですが、これは簡単なことではありません。
一方で塾にお金を払っている保護者の方は、成績アップなどの成果を期待しているため、ノルマなどはなくてもプレッシャーを感じ精神的に苦しかったです。
特に受験生を担当している時は、合格発表まで気が休まることがありませんでした。
一人一人個性がある生徒に指導する難しさ
これは同時にやりがいでもあるのですが、ある生徒で成功した指導が他の生徒に通用しないということは頻繁にあります。
常に、生徒との関わり方や指導の仕方は模索し続ける必要がありました。
進路についての情報収集の大変さ
私が働いていた塾の生徒は中学生が中心だったので、高校受験の対策をすることが多かったのですが、塾があったのが私の出身とは違う都道府県だったので、偏差値ごとにどのような高校があるか、受験の方式や問題の傾向などは1から情報収集を行わなくてはいけませんでした。
高校受験経験がある人は、可能なら自分の出身都道府県にある塾で働くと、ある程度わかっている状態からスタートできるので、有利だと思います。
おわりに
塾講師は楽なバイトではありませんが、人の成長に関わるという貴重な経験をすることが出来ます。
また、実際に経験してみて、やりがいをたくさん感じられましたし、自分自身の成長にもつながりました。
興味がある人には、ぜひ挑戦してみて欲しいバイトです。

新しいことに挑戦するのが大好き!インターン・資格・留学・英語などの記事を書いています。
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