Exciterで3年半働いたインターン体験記

インターンシップ

私は、大学3~4年生の頃に就活に落ちまくり、その時に株式会社Exciterと出会った。

インターンに応募したきっかけ

当時いい加減な就活をしていた私は、「他に興味を持てる仕事がないから」という理由でIT企業にESを出しまくっていたが、全敗して就活へのやる気を完全に無くしていた。ぼんやりと、なぜここまでやる気が出ないのか考えてみると、そもそも自分が「IT企業」に抱いているイメージが漠然としすぎていて、自分が働いている様子など全く想像できていないということに気づいた。ITと一括りにできないほど色々な形態があることは知っていたが、それでも何か一つ具体的なイメージを掴みたいと思い、「それならIT企業のインターンに参加してみれば良いのでは?」と思い立った。その後、ゼロワンインターンという長期インターンの求人情報を掲載しているサイトで、IT関連のインターンを探した。

IT系の求人はほとんどがプログラミング経験必須を条件としていたが、そんな中で未経験可のITコンサルタントのインターンを発見した。これがExciterだった。しかも、未経験可にも関わらず2000円くらいの高時給だった気がする。そんなウマい話があるものかとも思ったが、ダメ元で応募してみようと思い連絡を取った。すぐにやり取りが始まり、面接の予定が決まった。

 

面接

面接は都内の喫茶店で行われた。約束していた店の前で待っていると、群衆の中から身長185cmくらいの一際目を引く大柄な男性がこちらに向かって歩いてきて、私の目の前で立ち止まった。私は背が小さいので真上を見上げるような態勢で、圧倒されながら相手の様子をうかがっていた。男性は、「Exciterの田中です。じゃあ面接しようか」と言った。威圧感あるオーラをまとった男性(田中社長)は、私の想定していた“IT企業の社長さん”イメージの感じとは異なっていたため、私は少し驚きながら挨拶をした。喫茶店に入った後、私の不安を感じ取って下さってのことかは分からないが、田中社長から「俺こんな見た目だけど、受刑者とかじゃないから安心して」と言われた。私は逆にビビった。単に大柄であるだけでは済まされないオーラを感じ取った人物から、“受刑者”というワードを聞いてしまったら、ビビらない人間などいないと思う。

軽く雑談した後、さっそく本題である高時給バイトの詳細について伺った。Exciterの主力業務であり、田中社長がほぼ一人で回しているSAPの業務を手伝うインターン生を募集しているとのことだった。もっと言うと“手伝う”なんていう甘っちょろい話ではなく、田中社長の右腕をやれるぐらいの実力を身につけていってほしいということだ。「時給は高いがその分、真剣に考えないような態度に対しては厳しくする」と言われ、その言葉自体は当たり前というか特段キツい言い方ではないが、私は何となく自信を無くしてしまった。その様子を見抜いてかは知らないが、田中社長は「実は、SAP係以外にもWeb係も募集していて、そっちを選ぶと時給は下がる分要求もそこまで重くはない」と提案してくれた。私はその提案に乗せていただき、ExciterでWeb係としてインターンを始めることとなった。

 

Web係はじめての仕事

コロナが始まっていたこともあり、Web係としての仕事は全てリモートワークだった。私がはじめに頼まれた仕事は、田中社長が趣味の釣りブログを作りたいということで、どういったサイトを作るかを提案する、というものだった。こんなことを言うとIT業界志望者失格と言われても仕方がないが、私は物事の構造というものにあまり興味を持ったことがなく、それゆえにWebサイトがどういった仕組みによって表示されているのか、ということころから知らなければいけなかった。仕組みがある程度わかった後は、ブログサイトに配置される要素はどんなもので、どのような意味を持っているか、そして人から好まれやすい配置はどういったものかということについても調べた。大学で心理学を学んできた自分にとって、サイトの様々な要素は人間にとって分かりやすいように必然性を持って配置されているということが面白かった。そうやって調べてわかったことを、今度はパワポにまとめるように言われた。私は学生生活でたくさんパワポ使ってきたにも関わらず、いつも流れ作業で、よく考えて資料を作ったことがなかった。結果、混沌とした資料が誕生した。田中社長に見本の資料をいただいていたが、それとは雲泥の差があった (プロと比較すれば当然のことかもしれない)。恥ずかしい話だが、このとき初めて、資料も人間にとって分かりやすいように必然性を持って配置されなければならないということを実感した。

 

インターンで行った業務

釣りサイトの業務がひと段落した後は、他にも様々な種類の仕事をやらせてもらった。中でも私にとって最も勉強になったのが、Exciterの社内勉強会などで田中社長が説明した内容についての資料作りだった。私が大学や院で学んできた心理学と関連しているテーマで、人間の知的機能や思考に関連する資料作りも任せてもらい、自分自身が勉強したことを深めることにもつながったため、とてもありがたい業務だった。

他にも、シンプルな作業として釣りメモの文書化と掲載の作業を行った。釣りメモの文書化とは、田中社長が手書きで書いた釣行記録のメモを文書ファイル化し、そこに釣行において撮影した写真を合わせて釣りブログサイトに掲載するという、いたって単純な作業である。しかしながら注意があちこちに逸れまくる私にとって、ひたすら同じ作業をすること、大量の手書きメモや文書ファイル等オンラインデータの管理、といったことがうまくいかず、非常に抜け漏れが多かった。最終的に私は釣りメモを紛失してしまうという大罪を犯し、こういう人間が社会に出たら信用を失っていくと言うことを痛感した。

最後に、今あなたが読んでいるこの文章もその一つであるが、スタッフブログの記事作成が私のインターン生としての最後の集大成となった。これまで自分が経験してきたことを自由に、赤裸々に文章として吐き出すことができた。仕事には何かしら制約がつきものだが、この仕事はあまり考えずに伝えたいテーマについて自由に書いてもらっていいと言ってもらえたため、もっとも楽しい作業だった。

 

Exciterで働いてよかったこと

業務形態的な部分で言うと、私の場合、学部時代から院生時代まで研究や実習が大量に詰め込まれていて学業が忙しかったので、リモートワークで時間のある時にまとめて作業することができた点は本当に良かった。私の場合は、学部まで東京に居たが卒業後に地方の大学院に進学したため、リモートワーク以外の選択肢がなかったという部分もある。それでも研究については忙しさが毎週予測できなかったため、普段はほとんど作業せず、暇ができた時に徹底的に作業を進めさせてもらうことができたのはありがたかった。これを許してくれる会社は他のアルバイトやインターンではそうなかったと思う。

自分自身の成長的な部分で言うと、どの作業においても一貫して、できなかったことをはっきり言われる分、できた部分も公正に褒めてもらえるので、自己肯定感が健全に向上した実感がある。田中社長がこの接し方を貫いてくださったことで、よく考えて作った資料であれば評価してもらえるはずという期待値を持って、モチベーション高く作業ができた。

同じく、田中社長の考え方から吸収したことも大いに役立った。私は、アキレスと亀みたいな哲学的テーマをこねくり回すのが好き(得意ではない)な学生だったが、とある釣り帰りの時に社長から難しい話をされたのが今も印象に残っている。今となると詳細な会話はうろ覚えだが、「メガネという道具は、別の枠組みの中でも登場しうる」みたいな話で、最初は3回くらい聞いても意味がよく分からなかった。何回か話を聞くと、どうやらメガネを例として、「ピントが合わない場合にそれを矯正するという機能があるメガネは、それ自体は視力の悪い人間の眼球の前に配置されるために作られた道具だが、ピントを合わせるという機能そのものは他の場面においても利用されうる」みたいなことを言いたいようだった(田中社長へ。違っていたらこれをチェックされる際に訂正していただきたいです ※ごめん、話したこと自体覚えてない)。それを聞いてから、日常生活の中でも道具や誰かの行動など、様々な現象に機能を見つけ、それが他の場面でも使われていないかなということが頭に浮かぶようになった。

他にも副次的な利益もあった。資料作りの作業が多かった私は、大学院の発表などで作る資料を教授から褒められるようになった。田中社長が作るような見やすい資料の要素(資料の配色や配置、文章の接続)を見よう見まねで資料を作り続けていたら、ある時大学院の教授から私が提出した研究発表資料について「お前の資料がダントツで見やすい」と言ってもらえて嬉しかった。インターンを始めたばかりの頃の私は田中社長にさんざん、「てにをは」がおかしいと言われまくっていたが、気づけば文章も以前よりは分かりやすく書けるようになっており、書く技術は日々の鍛錬によって上達できるのだということを、身をもって感じた。

また、これも副次的なことだが、社長の釣りという趣味を通して、釣りの楽しさに出会うことができた。今でもたまに釣りに連れて行ってもらっているが、堤防でタバコを吸いながらのんびり時間が過ぎる夜釣りの楽しさや、船に揺られてオエっとなりながら必死にかじりついて釣りをする楽しさは、ここで働いていなければ出会えなかった楽しみだと思う。

 

インターンの大変だった点

最も大変だったことは、私のような注意散漫で先延ばし傾向の強い人間に対するリモートワークという監視がない作業形態の掛け合わせで、これは最悪だったとしか言いようがない。作業をするためにPCを開くと、我々の目には嫌でも色々な情報が入ってきてしまう。例えば私の場合、釣りについて調べ物をしている最中、「奇妙な深海魚ランキング」みたいなWebサイトを見つけたら最後、それらの深海魚が気になって仕方がなくて調べまくるという、また別の深海に潜り込んで帰ってこられないことも多かった(当然、脱線した分は作業時間には含まれない)。25分取り組んで5分休むポモドーロ法をやってみたりもしたが、私の場合一度休憩したら戻ってこられないので、結局期限ギリギリになってから寝ず休まずのぶっ続けで作業するみたいなことを何度もやってしまった。これが最近、もうすぐインターン卒業という時期に東京に旅行して、ついでに事務所で作業をさせてもらったら、驚くほど快適に作業できてしまい地方にいる自分を恨んだ。結局監視される以外でこの問題を解決する方法は分からなかった。

 

インターンの後悔・反省点

一つ目の反省点として、釣りメモ書類の管理や、自分自身の自己管理など、物事を計画的に管理する部分に自分の苦手さが見えていたにも関わらず、そこをもう少し自分で試行錯誤してうまくやれる方法を考えたり、相談したりできなかった点は残念だったと思う。しかし、Exciter側がタスク管理ツールを活用したタスク管理を行うようになったり、毎週進捗を報告するシステムを作ったりしてくれたおかげで、自分の怠惰体質にもかなり改善が起きたため、従業員のために作業しやすいシステムを考えてくれる会社は本当にありがたいと思った。

二つ目の反省は、他のインターン生や社員さんともっと交流すれば良かったと今では思う。地方にいた大学院時代はそれを実現することは困難だったかもしれないが、他のスタッフのスタッフブログを見てその個性豊かな体験に触れると、「この人たちともっと関わることができたら楽しかっただろうなあ」と感じるところは多分にあり、後悔している。

 

インターンで学んだ(今後に生かしたい)こと

よく「結果が全て」といったことが仕事やプロスポーツなどの世界で言われているが、結果には自分の力ではどうにもならない外的要因が影響している部分もあるため、結果を残せないからといって過程もダメとは限らないし、結果だけを求めてしまうと大したことがない成果でもよく見せようといった邪な心も生じてしまう。インターンを始めた頃、田中社長から仕事とは何かというテーマで勉強会をしてもらった際に、「仕事は信頼で成り立っている」ということを教わった。それ以来、人から信頼されるように、最低限相手が求めているものを返せるように仕事をしようと心がけるようになった。自分の頭で考えること、それをきちんと人と共有すること、これらの当たり前のことを忘れず行うようにした。私は最初のころ、資料作りにおいて情報を取捨選択できずに1枚のパワポにぎゅうぎゅう詰めにしてしまい、それでも「自分は頑張った」と言い訳していた。しかし実際、そこまで粒度の細かいものは必要とされてなかったと後から言われて、すれ違いが起きていたことが判明したのだった。それ以来、作業を行う前と後の確認作業に気をつけるようになった(リモートに甘えてしまい、うまく報連相できていなかった場面も多々あるが)。これはいかなる職種においても変わらない重要なことであると思われる。この春から新卒として働く自分はこれを最低限大切にしていこうと思っている。

 

感想・まとめ

ひょんなところから田中社長というすごい人に出会うことができた幸運な私は、20代前半の貴重な数年を費やして色々なことを学ばせていただくことができた。トータルの作業量でいえば、短期間でがっつり働いていたインターンの人たちに全然敵わない部分はあると思うが、年月が過ぎたある日、ピンと来て分かるようになることもあると今では感じるので、長期間にわたり作業させていただいたことは貴重な経験だった。地方にひっこんでからも寛容に作業させていただき定期的に釣りに連れて行ってくださった田中社長や、私の至らない部分を上手にマネジメントしてくださり、釣りにも一緒に行って下さったあいさんには、あらためて感謝を申し上げたい。

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