コミュニケーションはよくキャッチボールに例えられる。
キャッチボールをする際に、投げる人は「野球ボールを・相手が受け取りやすい位置に・受け取れるスピードで」投げる必要がある。サッカーボールを投げてはいけないし、取れない位置に投げてもいけないし、剛速球を投げてもいけない。受け取った人も同じように返す必要がある。
しかし、言葉のコミュニケーションになると、この当たり前のことができていない人が多い。聞かれたことと全然違う内容を返す、相手のレベルを考慮せずに剛速球を投げ返すなど。
多くの人は「そんなわけない」と思うかもしれない。しかし、自分は適切に答えているつもりでも、できていないケースは多い。質問に答えることは当たり前だからこそ、これができないとかなり損をしてしまう。
本レポートでは、質問に答えることをテーマに適切なコミュニケーションを考える。
質問に答えないとどうなるのか?
➀やるべきことが進まない
「~~~をできる?」と聞いた際に、「できる」なら良い、「できない」なら「なぜできないのか、どうしたらできるのか、いつまでならできるのか」などを確認して対応することで、進めることができる。
しかし、正しく返答しない場合、やるべきことが進まない。それ自体が問題なうえに、精神的にもつらくなる。
②相手の時間や労力を奪う
仕事上のコミュニケーションにおいて、適切に答えない人がいるとメールやチャットの場合は何往復もする必要が出てきて時間も労力もなくなる。
ただでさえ、多くの人は仕事もプライベートも忙しいので、時間や労力を奪われるような人と関わりたくない。
③悪い評価をされる
まともに質問に答えられないと、「何を言っているか分からない・頭悪い」と思われる。仕事上のコミュニケーションにおいて、そのような人は迷惑なので当然悪い評価が下される。
④人間関係・職場環境が悪化する
やるべきことが進まない、相手の時間や労力を奪い、悪い評価をされている人と関わりたい人なんていない。なので、誰からも優しくされないし、チームを組むうえでそんな人を加えてくれる人もいない。
こんな辛い状態になりたい人なんていないのに、なんで質問に答えないのだろうか?
なぜ質問に答えないのか?
➀どう答えていいかわからないから
単純に情報や理解力が足らず、答え方がわからないというケース。このケースではとにかくわかるまで聞き続けるしかない。
情報が足りないなら足りるまで聞く、理解力がないならわかるまで聞く、たとえ相手の伝え方に問題があっても分かるまで聞く。時間や労力はかかるが、間違ったまま進めて結局手戻りするような最悪のケースは避けられる。
②言い訳したいから
実際は質問されているだけなのに攻撃されていると勘違いして、自分を守るために言い訳してしまう。しかし、質問には答えられていないので、質問した側はイライラする。
このような「質問=攻撃」と認識している人は、「なんで~~なの!?」という答えを求めていない、相手を責める意図のレトリカルクエスチョンを繰り返し受けてしまった人が多い。
③全部言おうとするから
何かを聞かれた際に、起きたこと・背景情報・思ったことなどを全て一気に伝えようとするケース。要点をとらえない人と、自他分離ができない人は、このパターンに陥りがち。
まず、要点をとらえない人は、要約することが苦手で、すべての情報を伝えようとして話が冗長になる。
例えるなら、学校の校長先生の朝礼のあいさつのような感じであり、長いうえに何を言っているか分からない。
自他分離ができない人は、伝えるべき情報の伝達よりも、自分の状況の説明や感情の共有を優先してしまう。雑談なら問題ないが、仕事においては非生産的なので迷惑になる。
④レベル感がわからないから
具体的な話を聞いた際に抽象的な話で返す、大枠の話をしている際に例外で返すケース。
動画を見ている友達に、あなたが「何見ているの?」と聞いて「YouTube」と返答されたら、もう話したくなくなるだろう。
具体と抽象、粒度という考え方を持って、相手がざっくりした話をしたいのか、厳密な話をしたいのか考えながら、コミュニケーションを取ろう。
⑤言いたいことを話すから
コミュニケーションの中で、何か気になったらすぐにそれを聞く人や自分の言いたいことだけを言う人。
聞きたいことや言いたいことは、質問に対する適切な答えではないことが多い。
⑥事実と意見を混ぜるから
事実と意見はどちらも大事だが、分けて言うべき。事実を聞いたのに、事実と意見が混ざった解答が返ってきたら困る。混ぜてしまう人は感情的な人が多く、「思ったこと」を伝えたくなってしまい、事実と意見が混ざってしまう。
⑦責任を取りたくないから
自分の発言に責任を取りたくなくて、曖昧な回答をするパターン。
例えば、「作業が何時に終わるか?」と聞かれたときに、18時に終わると言うと終わらせられなかった場合、怒られると考えて、「あれやって、これやって~~」など曖昧に答える。
怒られることよりも責任を取りたくない人、ごまかす人と思われる方がマイナス。
⑧マジで聞いてないから
本当に聞いてない、聞こえてない人。稀にいるが、どうしようもない。
では、どうすればよいのか?
明確・簡潔に聞かれたことに答える、情報が足りないなら確認すればよいが、それができないから答えられてないので、現実的な解決策ではない。現実的なアクションプランとして以下の4つを挙げる。
➀相手がどう思うか想像しない
これを言ったら怒られる、バカだと思われるなどを想像せずに、とにかく「聞かれたことに素直に答える」ということ。
理由があるなら言う、自分の実力がないだけなら割り切るしかない。質問に答えない人、言い訳する人と評価されるよりはマシ。
②二択で答える
Yes/No、できる/できない、など2択で答えられるシンプルな質問にはシンプルに答える。
間に合うか否か、理解できたか否か、賛成か反対かなどシンプルなことを聞かれるケースは多いが、その際に自分の立場が悪くなると思って、曖昧に答えるのではなく二択で答えよう。
③テンプレを使う
思いついたまま話しても、冗長になるという認識を持ったうえで、世の中にあるテンプレに頼る。
テンプレ➀PREP:Point(結論)、Reason(理由)、Example(例)、Point(結論)
テンプレ②ケツリレー:結論、理由、例
④「~だからできない」ではなく「~すればできる」で話す
「~だからできない」という人は、できない・やらない理由を探しているだけのことも多いが、質問している人が知りたいのは「できない理由」ではなく「できる条件」なので、それを言おう。例えば、「今月忙しいから無理」ではなく、「来月ならいける」など。
仕事において、単純にできないでは済まず、どうにかしてやらなきゃいけない。なので、どうやったらできるのか考えて伝えるようにしよう。
おわりに
質問と回答のキャッチボールがしっかり成立すれば、物事がどんどん進んで、自分と周りの人の関係も良くなって非常にハッピー。
なので、自分にとって不都合なことがあっても誤魔化さず答えよう。多少怒られたり、悲しまれたりするかもしれないが仕事が進まない人、関わりたくない人だと思われるよりはマシ。
自分も周りもスムーズに仕事ができるように、「質問に答える」ことを徹底しよう。
感想
勉強会のテーマである「質問に答えろ」を聞いた際には、自分は答えられていると思っていたが、勉強会が進むにつれて、自分もできていない時が多くあると感じ、危機感を持った。
当たり前のことであるからこそ、忘れがちだが何か自分に不都合だったり、面倒だったりしてもしっかりと真摯に「質問に答えよう」と思った。
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