2024年3月5日勉強会レポート 言葉は正しく使え

社内勉強会

私たちは日常生活・仕事のほぼすべての局面で言葉を使う。それにも関わらず、多くの人は「言葉」を正しく使えていない。おそらく、あなたも言葉を正しく使うべき理由と言葉を正しく使う方法を説明することは難しいのではないだろうか。

この勉強会の目的は、すべての人が言葉を正しく使う必要性を理解し、実際に正しく使えるようになることだ。そして、本レポートでは、①言葉を正しく使うべき理由、②言葉を正しく使えていない例を説明することにより、読者が正しく言葉を使える状態に近づくことを目指す。

なぜ言葉を正しく使うべきなのか?

人間は日常生活・仕事のあらゆる局面で「input→考える・思う→output」という動作を行っている。そして、そのすべての動作は言葉を用いて行われている。だからこそ言葉を正しく使わなければ、すべての動作は間違った方向に進んでしまい、日常生活や仕事の質が低下してしまう。

言葉を正しく使うべき4つの理由

理由は大きく分けて4つある。

①話し手の意図が受け手に正しく伝わらないから

話し手が不正確な言葉を使って伝えた場合、受け手は意図を正しく理解できない。よくあるケースとして、話し手が持つ背景知識や経験を前提として抽象的な言葉を使うケースがある。

具体例として、ミスをした部下に指示をする上司の例を考える。部下に対して上司が「ちゃんとやれ」と指示する。上司は今までの経験を通じて、「ちゃんとやる」が具体的に何を指すのかを理解しているが、一方で部下は理解できず再び同じミスをする。

 

②正しく考えられないから

人間は考える際に必ず「言葉」を使うため、その言葉が正確でないと思考も正確ではなくなってしまう。考える際に、スマホ・PC・紙・頭の中の何を使っても「言葉」を使用することに変わりはない。

例として、仕事でミスをした原因を考える際に、抽象的な言葉を使って考える。ミスをした原因を、「頭が悪い(=抽象的な言葉)」からであると考えた場合、具体的に何がどう悪かったのかがわからず、有効な改善策を考えられない。改善策がなければ、またいずれ同じミスをする。

 

③言葉=outputだから

言葉は自分の思考・感情を他者に伝える手段である。そのため、言葉が不正確であると自分の思考や感情を他者に伝えることができない。仕事や他者との生活において自分の思考や感情が相手に伝わらなければ、考えたり思ったりする意味がない。

例として、友人からもらったプレゼントに対する反応の例を挙げる。プレゼントをもらった際に、自分がうれしいという感情を持ったとしても、「とてもうれしい」と具体的な言葉を伝えなければ、友人にその感情は伝わらない。プレゼントの内容が気に入らなかった、もしくはプレゼントをもらってもうれしくない人だと解釈されてしまう。

 

④言葉=inputだから

自分の言葉は思考や感情を持つための手段であり、なおかつ思考や感情は自分に対するインプットという側面もある。そのため、言葉が不正確だと歪んだ思考や感情がインプットされ続け、さらに思考や感情が不正確になってしまう。

例として、かわいい女性とかっこよくない男性のカップルを見て、「どうせ金目当て」だと考える卑屈男の例を挙げる。この男は起きる現象のすべてに対して、ネガティブな思考を持ち続けてしまう。このように、ある現象に対して卑屈なとらえ方をして、自分にネガティブな思考をinputし続けていると、次第にあらゆる物事に対してまず初めにネガティブな側面からの思考が行われて、卑屈な人間になる。

 

どのように言葉を正しく使うのか?

「言葉を正しく使う」方法を明確に定義することはとても難しい。そのため、正しく使えていないパターンを学び、それらを避けることでより「言葉を正しく使う」状態に近づけるべきである。以下で正しく使えていない6つの類型を整理する。

言葉を正しく使えていない6つの類型

具体的には、ボキャ貧型・ぼやかし型・主語でかい型・すっぱいぶどう型・人のせい型・けしからん型の6つがある。

 

ボキャ貧型

これは当人の語彙が足りず、抽象的な言葉を使うタイプでさらに2つの類型がある。ごちゃまぜ言葉を使うタイプとラベリング言葉を使うタイプだ。

ごちゃまぜ言葉を使うタイプは、複数の定義や抽象的なイメージを持つような言葉を使う。やばい、かわいい、うざいなどだ。例えば、ある人が何かを見て「やばい」といった場合、危機に瀕しているのか、驚いているのか、単に強調しているだけなのか判別できず、話し手の意図が伝わらない。

次にラベリング言葉を使うタイプは、ネガティブな意味を持つ一定の属性を指す言葉を使う。最近の若者、老害、パワハラ/セクハラなどだ。例えば、「最近の若者」という言葉は、「仕事ができない・頑張らない・飲み会に来ない」など何らかのネガティブなイメージを指しているが、一元的で具体的な定義はない。その上に、仮に25歳以下の人間を最近の若者だと定義しても、25歳以下の人間の実態は実に多様であり、一概に定義できない。

 

ぼやかし型

これは、意図的にあいまいな言葉を使うことで何らかの意思表示をするタイプを指す。この典型例は、「大丈夫」と「なんで~~~なの?」の2つだ。例えば、生徒に対して「なんで課題やってないの?」と問いかける教師がいる。この教師は課題をやっていない原因を聞いているわけではない。課題をやってこなかった生徒を責めているのだ。

 

主語でかい型

これは、ある現象が自分にとって都合がいい解釈をしているタイプを指す。例えば、ある低賃金労働者が、自分がマックしか食べられない原因は、経済・政治にあると訴えた。しかし、その状況を招いた本当の原因は自分の能力の低さである。にもかかわらず、能力不足から目を背けるために、無意識に現象に対して自分にとって都合がいい解釈をしている。また、原因である能力不足を自認できないため、状況の改善につながらない。

 

すっぱいぶどう型

これは、自分が持たないものへの嫉妬からくる言いがかりを言うタイプを指す。例えば、婚活中の34歳女性が「若い女性が好きな男性」を批判している例を考える。これは女性が自分の婚活がうまくいっていない状況に対する憂さ晴らしのために、自分が持っていない「若さ」を求める男性を批判している。批判をしても、若さを求める男性が減るわけでもなく、自分が若くなるわけでもなく、婚活がうまくいくわけでもない。

 

人のせい型

これは自分の落ち度を他人に転嫁するタイプを指す。具体例として、女性がコインランドリーで洗濯していた衣類が、洗濯機から勝手に外へ出されていた例を考える。この女性は、その状況を招いた原因は、コインランドリーの管理にあると主張した。これは問題の真の原因である自分の落ち度を他者へ転嫁することで、自分は悪くないと擁護しながら不快感を解消している。

 

けしからん型

これは、何らかの正当に見える理由をつけて正義感を振りかざしたいタイプを指す。例えば、病院の受付の人がネイルを糾弾する病人だ。病人が来る施設である病院で受け付けの人がおしゃれをするのはおかしいと主張する。しかし、その行為は病気が治るなどの具体的な問題解決につながるものではない。

 

まとめ

多くの人は、人間の基本である言葉を正しく使えていない。

言葉を正しく使うべき理由は、正しく「伝える・考える・output・input」する必要があるから。だからこそ、言葉を正しく使うことができれば、あらゆる局面で自分の能力を最大限に発揮できる。

そして、言葉を正しく使うために、正しく使えていない例を避けることでより正しく使える状態に近づけるべきだ。

 

ただ、補足として生活のすべての局面で正しい言葉を使う必要はない。むしろ、あえて正しく使わないときも必要だ。例えば、雑談の中の相槌でいちいち正しく言語化すれば、相手は気持ちよく話すことができない。雑談の目的は、互いに気持ちよく楽しく話すことであるため、この場合はあえてあいまいな言葉を使うべきである。

 

おわりに

今回の勉強会を通じて自分は、今まで考えたこともなかった「言葉を正しく使うこと」の重要性を理解するとともに、自分がいままで言葉を正しく使えていなかったことを痛感した。今後、自分は文章を書く際も話す際も、毎回「言葉を正しく使えているか」自問自答し続けて、正しく使える状態に近づけようと感じた。

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