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内容

論点

物事を考える上で重要な要素の一つに、「論点」がある。何事も論点が無ければ話が進まず、論点が間違っていては正しい答えに辿り着かない。

ここでは、テーマの違う4つの題材から論点の定め方について記載する。

BLM運動の話

『以前、白人警官が黒人の犯罪者をその場で射殺した出来事を発端に、BLM(Black Lives Matter)運動の名が世界に知れ渡った。そんな中、BLM運動は過激化し、暴動に発展した。さらにその暴動の矛先は同じ黒人に向けられ、黒人が黒人に対して怒りを露にするトラブルが起きた。』

ここまでの話を背景に感想を述べる場合、「感情的になり過ぎて暴動の矛先が本来向けるべきでないところに向いている」、「やはり黒人は暴力的な一面があるという偏見を自ら表している」、「略奪や破壊を正当化しようとしているのか」、「これは他の国に煽られて操作されている」等々、様々な意見が飛び交うであろう。

ここで重要なことは、内容に対する感想や考察と、事実を混同してはならないということである。

まず感想を述べる場合、表面的な内容だけで感情的な意見を述べてしまう人が大半である。しかし、その内容の背景や事情が加わることで、恐らく感想は変わるだろう。

物事を表す際に感情がいけないこと、ということではなく、表面的な限られた内容だけで述べてはならず、まずはフラットな状態で内容をきちんと要素分解し、論点を定めなければならない。その上で感情により判断した内容を述べることが重要であり、正しい論点が定められなければ、ただの感情的な自己満の解釈として、論点から外れた感想や考察になってしまう。感情がいけない訳ではなく、論理的思考と感情を分けて考えた上で意見を述べなければならない。

 

死刑囚が裁判を起こした話

『ある死刑囚二人が、「死刑執行を当日に知らせるのは違法」だとして、国に賠償と事前の告知を求めて訴えを起こした。死刑囚に対する刑の執行をめぐっては、「心情の安定を保つため」などとし、国は現在、本人への告知を約二時間前としている。拘置所に収容されている死刑囚二人は、「不服を申し立てる時間がなく、憲法や自由権規約に違反する」などとして、国に対し損害賠償や事前の告知を求めている。これに対して国側は原告側の訴えを棄却するよう求め、詳しい主張は今後の裁判で明らかにするとしている。』

 

このテーマについて、2つの論点である「①死刑囚に対して当日に刑の執行を告知することは違法かどうか」、「②死刑囚が国に対して、死刑執行を事前に告知するよう求めること、損害賠償を求めることについて容認できるのかどうか」に対してそれぞれ意見を出すとする。

 

①についての意見として、「死刑囚であっても人は人のため、やはり死に対する恐怖から事前の告知は行うべき」や、「そもそも死刑になるくらいの重罪を犯しており、そんな人たちが違法かどうかを語る資格がない」という人もいるであろう。②についての意見として、「そもそも被害者はなんの告知もなく被害にあっている、そして死刑囚として今後世のためにもならない人達が金を要求することはおかしい」や、「死刑囚に対して、刑の執行まで死に対する恐怖を感じさせることも罰であり、善人の税金により死刑囚の食べ物が賄われている時点でムダ金であるのに、損害賠償を求めることには違和感しかない」等の意見が出るであろう。

これらの意見を出す上で重要なことは、感情論として良し悪しを決める前に、まずは自分以外にも「ものの見方」があることを素直に受け入れることである。もちろん人それぞれに抱く感情や意見は多くあるが、この人とは意見が合わないから認めない、ではなく、自分以外にも様々なものの見方があることを知らなければならない。特にこのテーマのように感情や人徳的視点から様々な意見が飛び交う題材ではあるものの、まずは冷静に多くの視点があることを知り、そこから自身の意見を出すことが重要である。

そして意見を出す時は、感情的な観点で意見を出してしまうようなテーマについても、まずはテーマを要素分解し、論点を明確にしなければならない。論点が明確になることで適切な意見を出すことができ、そもそものテーマから外れない意見を出すことができる。

このテーマのように感情が入りやすいものについては、そもそものテーマから外れた意見を持ってしまいやすいが、感情に支配されそもそもの論点やテーマから外れることがあってはならない。身近なところでは、人間関係が大きく影響する。思い入れのある職場の人(同期や上司等)や得意先の顧客等、どうしても感情が入ってしまうことがあるが、感情で全ての判断をすることはできない。まずは冷静に物事を要素分解し、その上で感情を加味した判断や物事の進め方をしなければならない。

 

恋人についてのSNSの話

とある女性が、男性と仲睦まじく映っている写メと共に載せた投稿である。

『ある冬、バイト終わりの写真です。優しく穏やかな彼氏よりも、意地悪で喧嘩ばかりだったこの人のことが好きでした。私が泣きながら電話を切った日からこの人とは連絡を取っていません。きっともう二度と会いません。彼氏とは来年結婚します。運命ってなんですか。♯誰にも見せないことにした写真展』

 

この内容の意見として、「ただの承認欲求の塊」、「だから何?」、「この投稿者の女性もどうしようもない人だが、なんだかんだどうしようもない男性との関係を切ることを選んだのか」等、このテーマこそ多くの意見が出るであろう。

このテーマの場合、誰もが気軽に見ることができ、意見もそこまで重要視するような内容ではないからこそ、このような何でもない内容に抱く感情は漠然とした言葉や感情で終わってしまうことがほとんどである。ここで重要なことは、テーマの重要度に関係なく感情の本質を明確にすることである。自身の中で何かがモヤモヤし、正体は分からないが何か何処か腑に落ちない、という状況は誰しもが経験したことがあると思う。このモヤモヤの正体を突き止められなければ、表面的な感情でしか物事が判断できず良い方向に進まない。そうならないためにも、感情の正体を突き止めて、根拠のある意見を出さなければならない。

 

無罪になった女性の話

『水槽を万引きしたとして窃盗罪に問われた無職女性に対して、地裁は無罪(求刑・罰金50万円)の判決を言い渡した。判決で裁判官は、「女性に窃盗の故意があったとは認められない」とした。

判決によると、女性は当時、水槽以外の商品27点をセルフレジで精算した際、水槽もレジに持ち込んでおり、「清算作業に気を取られるなどして、水槽の清算を忘れても不自然ではない」と指摘。また清算前、従業員に「水槽が欲しい」と声をかけ、購入できるだけの金額を所持していた点も無罪の判断理由とした。』

 

このテーマについて論点を述べる場合、「判決の結果は妥当であるのか」、「そもそも裁判までに至る内容なのか」、「求刑50万円は妥当な金額なのか」、「セルフレジであることに問題は無かったのか」等が挙げられる。

これらの論点について重要な要素は、最もと判断できる事実と、疑問が残る内容があることである。無罪の件については、無職であっても女性には27点もの買い物ができるだけのお金を持っており、従業員に対しても水槽を買う意思を示しているという事実から無罪であることは誰から見ても納得しやすい事実である。しかし、水槽を万引きしたと仮定しても、高額とは思えない水槽に対して裁判まで発展し、求刑が50万円にもなることには違和感が残るであろう。また、セルフレジに関しても、今回のケースのように客がレジミスをしただけで万引き扱いになるということにもセルフレジの是非が問われる。

今回の場合、最も重要な論点としては、疑問に残る事柄を挙げることである。事実が最もであると判断できる論点についてはそもそも納得のいく時点で解決している。しかし、疑問が残るものについてはそのままにしてはならず、さらに深掘りをしなければならない。そして、そもそもその疑問を感じるようにならなければならない。

 

まとめ

物事を考える上で重要な要素である論点について、今回挙げた4つのテーマのように何気ない日常の出来事から論点を見つけ出すクセを付けなければならない。それは仕事をする上で、ビジネスパーソンとして論理的思考ができるようになるためにも重要であり、適切な論点を定めるためにも、少しの引っ掛かりや疑問を感じるようにならなければならない。そして、さらに事実の情報と感情を分けて、その上で適切な意見を出せるようにならなければならない。

どんな人であろうと、頭の中はワンルームであり(人によって面積の違いはある)、仕事用の部屋とプライベート用の部屋、と分けることはできない。そしてプライベートの場合には仕事をできるだけ持ち込みたくないものである。だから日頃から何気ない題材(ネットニュースや掲示板等)から論点を見付けるクセをつけ、仕事においても自然とできるようにならなければならない。そのためには、何気ない題材にも主観的視点を捨て客観的視点を持つこと、事実の情報と感情を切り離して考えるクセを日頃から身に付けなければならない。

 

最後に

ネットニュースや掲示板、あるいはSNS等から情報を得ることが当たり前の時代であるが、気軽に手に入る情報だからこそ表面的な情報しか察知せず、ただなんとなく暇つぶしというだけで見ていることが多い。しかし、その情報は自分に関係がないから、とか興味がないから、で流して見てしまっていることは、情報を正しく理解していないまま話題にあげて、ただなんとなくその話を知った気でいただけであったことにも気付いた。

仕事においてもプライベートにおいても、相手と適切で明確な会話のやり取りができるようになるためにも、日頃から論点を定めるトレーニングをしなければならないと痛感した。

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