2022年7月19日勉強会レポート 「認知」 

社内勉強会

2022年7月29日に行われた勉強会「認知」についてのレポートである。

 

人は成長することが求められるが、そのためには「認知の力」が必要不可欠である。認知の概念を理解し、その上でどのように成長すべきかを理解することを目的に行われた勉強会である。

 

あらまし

認知とは、「知覚し、認識し、解釈する力」である。具体例を挙げると、「においを感じる(知覚)」→「牛肉を焼いているにおいがする(認識)」→「そういえば冷蔵庫にあったな、晩飯だな(解釈)」という流れであり、日頃から無意識に行っていることである。

認知は「思考・感情・行動」の3つの要素がトライアングルの構造となっており、それぞれが相互に作用し合い成り立つ。しかし、このトライアングルが正常に機能しない場合があり、その例として感情がそのまま行動に出てしまうことである。何か怒りを感じた場合、正常であればまずは何に怒りを感じているのか解釈し、それに対してどのように対処すればよいのか冷静に考えるべきである。対して正常でない場合、感情が大きく露になり、冷静な考えや判断ができず、咄嗟に暴力を振るう、大声で怒鳴り散らす等の行動に出てしまう。これは人の成長にとって大きな阻害要因となるため、「認知の力」を身に付けなければならない。

 

認知力と非認知能力

認知の力は「認知能力」と「非認知能力」の2つに分かれており、人が成長する上で土台となる力である。

 

人は成長する要素として、知識・技術・経験を求めがちだが、まずは成長の土台である「認知の力」がしっかりしていなければ、知識・技術・経験を積んでも適切に吸収することができない。

 

認知能力

IQテストで測ることができる、いわゆる「頭の良さ」のようなものであり、以下の4つの要素から成り立つ。

①言語理解

その名の通り、言葉を理解し使用するスキルである。一見、当たり前に皆が身に付けているものだと思われがちだが、実は十分に身に付けられてない人が多いと言われている。この力が低い=伝えたいことが上手く伝わらない=ストレスの負荷がかかりやすい状態のため、身に付けるべき力である。

 

②作動記憶

その瞬間相手が発した言葉を一時的に記憶する力である。この力が低い人は数秒前のことが覚えられない=忘れてしまう=やる気がないと捉えられてしまう。

 

③知覚統合

いくつかの対象がある場合、それらを関連付けることや、紐づける力のことである。この力が低い人は、本質を見抜くことができず、また状況の判断ができないことから空気が読めない言動をしてしまう。

 

④処理速度

頭と行動の処理スピードの力である。この力が低い人は、物事を認識し解釈することや、作業が遅いことにより周囲に付いていけなくなる、単純に遅いことで生産性が低いと捉えられ、生きづらくなってしまう。

 

認知能力は、実際のところ遺伝の影響が強いとされており、ある程度能力の高さの限界があることは事実であるが、100%が遺伝で決まるわけではない。トレーニングによる能力向上等、努力の介入する余地は大いにあるため、成長し実力者になるためにも、遺伝という事実に甘えず、ベストを尽くし精進することが重要である。

 

非認知能力

IQテスト等で測れないような「人間力」である。ピラミッドの一番土台に位置しており、幸せに直結する力でもある。

非認知能力は、意欲・自信・自己肯定感・粘り強さ、自制心・共感・社会性・計画性・楽観性・感情調整・マインドフルネス・好奇心・ストレス耐性等々、多くの要素から成り立つ。

これらは3~5歳ぐらいの幼少期に、家庭環境や経済状況に影響を受け、ベースが形成される。では大人になってから向上の余地がないと言われるとそうでもなく、まずは非認知能力がどのようなものであるか理解すること、そして、自身の非認知能力を客観的に把握し、足りない要素の向上に努めることが重要である。

 

「認知の力」と学力

学力と精神疾患の相関

学力は精神疾患との相関がある。学力が低い人は精神疾患を患いやすいという統計があり、この根拠は非認知能力の低さと大きく関係している。

非認知能力は、経済状況や両親から受けた愛情等の家庭環境に強い影響を受けて形成されるものであるが、幼少期に受ける「承認」は特に影響力が強い。幼少期に怒られてばかりであった、話を十分に受け入れてもらえなかった、褒められることが少なかった等、十分な「承認」を得られないまま人格形成された場合、健全な精神が構築されず、意欲・忍耐等の学力向上に必要となる非認知能力が不十分のまま育つこととなる。

学力向上には頭脳・身体・精神の健康が必要不可欠であるが、成長の土台となる非認知能力の低さが、学力向上の妨げとなるケースが多い。

 

「認知の力」と学力の関係性

学校での勉強が、社会に出てから何の役に立つのか考えたことがある人は多いのではないだろうか。例えば数学の二次関数を仕事で使用することはほぼ無いが、なぜ勉強しなければならないのか説明を受けるわけでもない。

そこには、各教科を通して以下の要素を学ぶことに繋がっている。

  • 国語:言語化スキル、知識量、読書習慣 etc.
  • 英語:記憶力、忍耐力 etc.
  • 数学:合理性、論理性、パズル力(知覚統合) etc.
  • 体育:要領、忍耐力、体力 etc.

 

認知能力や非認知能力は、学校の勉強や学力に大きな影響を与えているが、勉強を通して「認知の力」を向上させているともいえる。

学校の勉強は即物的に役立つことが少なく、学ぶ目的が不明確であるという人も多いが、勉強を通して「認知の力」を鍛え、鍛えた力を学力に反映させるというサイクルに価値がある。

 

「認知の力」の高め方

分類ごとの高め方

 認知の力を高めるには、どのような方法があるのか。認知能力と非認知能力の高低を2軸から分類し、紹介する。

 

 

上記図の認知行動療法とは、必ずしも④に分類される人だけが必要なことではなく、①~③に分類される人にも部分的に必要な場合もある。そして療法と聞くと病院での治療のイメージがあるが、必ずしもそうではなく、日々の生活や仕事において仕組みで改善できる方法もある。

 

認知行動療法

前項で述べた仕組みについて、認知行動療法のひとつに「ABC理論」というものがあり、「Active Event:出来事や論点」「Belief:思い込み」「Consequence:感情や行動という結果」の頭文字をとったものである。

人は出来事や論点(以下Aと記載)から感情や行動といった結果(以下Cと記載)に至るが、その間には無意識に思い込みや固定観念による決めつけ(以下Bと記載)が生じている。つまりはAとCのつじつまが合っていないということである。

ここで重要なことは、まずはAとCのつじつまが合わないことに気付くこと、そして、Bが生じていることを認識することであり、これらに気付くためには、紙に書き出す・他者と対話する等、目や耳で感じるoutputを行い、客観視できる状態にすることである。

 

「認知の力」を阻害する要素

「認知の力」を身に付けたとしても、その力が上手く発揮されなければ無意味だが、それらを阻害する要素に「認知のゆがみ」と「認知バイアス」がある。

  • 認知のゆがみ

物事の捉え方や見え方に、無意識にゆがみが生じている状態であり、視力に例えると近視・遠視・乱視のような状態である。

指摘を受けても認めようとせず、完全に思い込みで物事を捉えており、さらには思い込みと認めない状態=重症である。

 

  • 認知バイアス

物事に対して誤った捉え方をしている状態であり、視力に例えるとサングラスや色眼鏡をかけている状態である。

何かを考えることや生み出す場合、何事も0もしくは1から考える必要があるが、そこにかける時間や体力は有限なため、それらの手間を省く=固定観念や先入観に頼ってきた結果生じたのが認知バイアスである。これは誤った捉え方を修正すればよいため、認知のゆがみよりは改善の余地がある。

 

成長に必要とされる「認知の力」を鍛えるためには多くの手間を要するが、まずは自身が身心共に健康であることが求められる。

 

最後に

この勉強会から感じたことは、とにかく私は非認知能力が低いということである。私生活や仕事においても、周囲と認識が合わず求められていない発言をしてしまうこともあり、とにかく認知能力も低いが、そのさらに土台となる非認知能力が非常に低く、そしてその要因にも思い当たる節もあった。

以前の私であれば、周囲よりも劣っている事実を素直に受け止めることができずすぐに人のせいにしていたが、最近少しずつ客観視ができるようにもなってきたため、成長するためにも自身と向き合い、自身に足りないものがあることに対して悲観的にならず、前向きに向上していきたいと思う。



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