2022年5月23日勉強会レポート メタ認知力

社内勉強会

2022年5月23日に行われた勉強会「メタ認知力」についてのレポートである。

メタ認知力が無い人は、人生においてとても生きづらいとされている。そんなメタ認知力とは何か、そしてどのように身に付ければよいのかを説明する。

 

あらまし

メタ認知力とは、①自分の思考や感情を客観視する力、②客観視できた上で制御する力、である。これらの力は具体的にどのようなことを指しているのか。

 

①自分の思考や感情を客観視する力

この力がある人は、自身の思考や感情に対して冷静でいられる人である。逆にこの力が無い人を説明すると分かりやすいが、この力が無い人はテーマから結論に直結してしまう人である。例えば、何かに怒りを感じた場合、瞬間湯沸かし器のように怒鳴り散らすことや、手が出てしまうこと、つまり怒りの感情が瞬発的に表に出てしまうような人を指す。一方でメタ認知力がある人は、何かに怒りを感じた場合、「自分はどうしてこんなに怒りを感じているのだろうか」と冷静に怒りの正体を考えることができる、つまり自分の感情を客観視できるということである。

今幸せかどうかは別として、幸せに生きていきたいと考える人が大半だと思うが、まずは自分の感情や思考を客観視する力が無ければストレスを抱える要因となり、幸せから遠ざかってしまう。また、この力は特に頭脳労働者に影響を及ぼす。頭脳労働者はとにかく頭を使い考えなければならないが、そのためには自分の感情や思考を客観視し、冷静になることが重要である。

 

②客観視できた上で制御する力

まずこの力は、①の力を身に付けることが前提である。そして、①を身に付けられたからと言って、制御する力が身に付くとは限らない。例えば、ダイエットに置き換えると分かりやすい。ダイエットをしている人は、夜寝る前や夜中に、高カロリーなものをガッツリ食べてはいけないと分かってはいても、目の前にあることでつい食べてしまう。しかし、制御する力がある人は、分かっているからこそ本来食べたい高カロリーなものではなく、「水を飲んで空腹を紛らわせよう」や、「食べることは我慢できないから、一口程の小さなチョコレートだけ食べよう」という行動をとれる。

 

メリット

メタ認知力を身に付けることで、4つのメリットを得ることができる。

 

①怒りや不安のような感情に支配されづらい

メタ認知力がある人は、怒りや不安の感情を客観視することができる=冷静に向き合うことができる。これは怒りや不安の感情を突き止め、その上で対処法を考えることができるからである。

 

②ウツになりづらい(必要以上にテンションが低い状態になりづらい)

ここでのウツとは病気だけではなく、落胆し過ぎているような状態も指す。怒りや不安といった負の感情と同様、メタ認知力があることで負の感情に対して冷静に対処することができる。そのため、精神疾患やその手前の状態になりづらい。

 

③「感情的になることをやめる」という選択肢が増える

メタ認知力が無い人は、例えば何かに怒りを感じたとき、「瞬発的に怒りを表面に出す」という結論しかない。しかし、メタ認知力がある人はその結論だけでなく、「腹は立つけど、仕方ない」と思える選択肢を持つことができる。人は感情の生き物であるため、感情的になることが悪ではない。ここでは感情的に「なる」か「ならない」かが選択できる、ということを指している。選択肢が増えることで、後々望んでいない結果になる=後悔する、ということが少なくなる。

 

④感情のコントロールが上手になる

上記3点の観点から、感情を制御できるようになる。制御できることで、抱いた感情を蓄積することなくこまめに吐き出すことができ、常にストレスフリー、もしくはそれに近い状態を保つことができる。つまりメタ認知力は、ストレスコントロールの根本にある存在である。

 

効果

メタ認知力を身に付けることで、5つの効果を得ることができる。

 

①状況の把握力が向上する

メタ認知力がある=客観視する力があること。つまり冷静になれることであり、それにより視界の全体感が広がるため、状況の把握力を向上させることができる。

 

②伝える力が上がる

自分を客観視できる人は、他の人に対しても客観視することができる。つまり、相手を冷静に捉えて分析することができるため、相手の目線や立場等に合わせた適切な言葉を伝えることができる。人の心に刺さる言葉を言える人は、メタ認知力がある人である。

 

③気付きが増える

メタ認知力が無い人は、自分の思考や感情に支配されている=自分が正しいという思い込みがあるため、視野が狭い。メタ認知力がある人はその逆であるため、視野が広い。視野が広がることで当然気付く物事は多く、何かのテーマに対してアイデアを出す場合、質が良く多くの量のアイデアを出すことができる。

 

④本質につながる

物事の本質に近づくためには、「なぜ?」が重要であるが、そのためにはまず目の前の事実を事実と受け取ることが重要である。メタ認知力がある人は客観視できるため、事実を事実と受け取ることができる。例えば、目の前に怒っている人がいる場合、その人に対して冷静にまずは「怒っている」という事実を受け取る。次にその事実から「そしてこの人はなぜ怒っているのだろうか?」と考えることができる。そしてさらになぜ?と辿ることで本質につなげていくことができる。

 

⑤結果、様々な角度で見たり考えたりすることができる

「見る」ということには、視点(物事を見る位置)・視野(物事を見る範囲)・視座(物事を見る目線の高さ)の概念が重要である。そして、客観視する力と制御する力がある人は、3つの「見る」という概念を冷静に捉えて物事を見ることができるため、自然と見方や考え方を広げることができる。

 

脳科学的な話

メタ認知力がある人は、いわゆる「勘所がよい人」と言われるが、そこには脳科学的な話も絡んでくる。

普段我々が見えている物事は、実は物事をあるがままに認識できておらず、見聞きして得た情報を組み合わせて、脳内で再構築したものに過ぎない。

例えば映画を見た場合、1回目に見た時と2回目に見た時では、少なからず映像から得られる情報の印象が変わってくる。もちろん1回目は初めて見るため、映像や内容も初めての状態で話が進んでいく。しかし2回目に見る場合、1度見たことがあるため、1回目に見た時には気付けなかった新たな気付きが出てくる。また、登場人物についても1回目で見て容姿や人柄を把握しているはずだが、2回目に同じ登場人物を見る場合、「あれ、この登場人物はこんな見た目だったかな?」と思うことがあるだろう。

メタ認知力がある人は、映画を2回目に見たときに気付くことを1回目で気付くことができる。それがいわゆる「勘所がよい人」と言われる理由である。

 

感情の正体

メタ認知力とは幸せに生きていくために必要であり、ぜひ身に付けるべき力である。身に付ける方法を説明する前に、まずは「感情の正体」を解き明かす必要がある。

 

感情は、一般的には大きく「喜・怒・哀・楽」の4つに分類されるが、実はこれら4つの感情は「身体的反応(縦軸)」と「心の反応(横軸)」の2軸から構成されているに過ぎない。

「怒」はまさに興奮状態である。「喜」については良いことであるが、心臓バクバクの興奮状態にあるため、メタ認知力の観点からすると、必ずしも良い状態とは言えない。このことからも、横軸を基準に上に位置する「怒」と「喜」は冷静な状態で

はない=ヒステリーに陥る危険があり、まさにメタ認知力が無い状態である。

一方、横軸を基準に下に位置する「哀」と「楽」は、身体的反応から見ると冷静=落ち着いた状態である。しかし「哀」については、冷静でいられることができればよいが、心の反応としては良い状態ではないため、こまめに吐き出すことができなければ大きなストレスを抱えることになる。

 

一般的に感情と言われる「喜・怒・哀・楽」をコントロールするには、これらの感情を直接コントロールすることができない。つまりコントロールできるものはこの2軸であるが、特に身体的反応にあたる「心臓バクバク・冷静」をコントールすることは可能である。(心の反応についてはコントロールができないわけではないが、簡単にはできない。)

 

メタ認知力の身に付け方

メタ認知力を身に付ける方法は、①瞑想、②筆記開示の2つである。

 

①瞑想(呼吸に集中すること)

前項でも説明した通り、感情をコントロールするためには身体的反応をコントロールすることである。その身体的反応の具体的なコントロール方法が「瞑想(呼吸に集中すること)」である。

深呼吸をイメージすると分かりやすいが、深く息を吸い吐き出すと、落ち着いた状態になる。目を閉じ、呼吸を落ち着かせることで、少しでも落ち着いた経験は誰しもがあるのではないだろうか。興奮状態にあるときに深呼吸をすることで、少しでも冷静に近づけることが可能である。

 

②筆記開示

とにかく紙に書き出すことである。キーボードで「打つ」のではなく、必ず紙に「書き出す」、そして書くことは頭や心で思ったことをひたすら書く。言葉遣いに気を遣ってはいけない(誰かに見られても問題ないような言葉は不要)。また、書き出すときは言葉の粒度を気にしない。

人は正体が分からない、未知なものに対して大きなストレスを感じる。だからこそ頭や心に抱えているものを紙に吐き出すことで、頭にも心にもスペースが生まれ、スッキリした状態になる。そして、書き出すことで文字として形になる。形に表れることで、少しずつでも未知なるものの正体に気付いていくことができる。

 

まとめ

メタ認知力があることは、幸せに生きていきやすくなることである。生きていきづらいということは、とにかく日頃からストレスを抱えてしまうからであるが、メタ認知力があると、そのようなストレスを抱える必要は無くなり、自分の防御力を上げることができる。

 

最後に

私はあまり怒ることはないものの、すぐに落ち込んでしまう性格である。そのため、人の話が冷静に受け取れないどころか、自分自身がどうしたらよいのかも分からず、ひたすら自分の殻にこもってしまう時がある。どう頑張っても感情に支配されてしまう自分に困っていたが、今回の勉強会からメタ認知力を知り、筆記開示を行うことで、以前よりも少し冷静になれることが増えたと感じている。幸せに生きていくためにも、まずは筆記開示から自分と向き合い、メタ認知力を積極的に向上させていきたいと思う。

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