はじめに
この記事では、運転免許証も持っていない私が3年間勤めた事故受付のコールセンター業務について、仕事内容や学んだことなどをご紹介しています。
テレビCMでも見られる事故受付アドバイザー業務について、少しでも多くの方が知っていただければ幸いです。
始めたきっかけ
コールセンターのバイトを始めたのは大学1年生の頃で、そこから3年間続けていました。
大学受験に失敗したため、社会人になっても役立つビジネススキルを身につけたかったことと、立地の良さや時給の高さで応募しました。
ただ、電話営業ができるほどのメンタルは持ち合わせていないと判断したため、セールス業務が一切ないコールセンターに絞っていました。
事故受付コールセンターとは
事故受付の電話業務とは、事故に遭われたお客様に対して、保険請求の受付を行う窓口業務のことを指します。
お客様相手に現場対応や相手方との対応についてアドバイスをすることからアドバイザー業務とも呼ばれます。
私は、保険証券に記載されている24時間対応のフリーダイヤル窓口の仕事でした。
「お怪我はございませんか?」や「お相手とも直接お話します」などと話すオペレーターの姿をテレビCMで見たことがある方もいらっしゃるかと思いますが、まさしくそのようなことを行っていました。
選考
性格診断、タイピングのスピードチェックテスト、一対一の面接で構成されていました。
面接では真面目さとコミュニケーション力を見られていると思います。
会社は損害保険会社のコールセンター業務をメインとしている子会社なので他業種でのアルバイト募集はありません。
同期は遅番だったせいか大学生がほとんどでした。
仕事内容
私は2年目からトレーナーに昇格したため、OJT研修にも携わっていました。
受信対応
事故サポートセンターでは基本的に受信対応です。
自動車(任意・自賠責)保険、火災新種保険など多岐にわたる種目の請求受付を行います。
事故に遭われた方から連絡を受け、運転者や相手情報、事故状況などを聴取し受付をすすめていきます。
レッカーが必要な場合はロードサービスに転送し対応を引き継ぎます。
お客様のほとんどが「事故が初めて」と不安になってらっしゃるので、なるべく相手に寄り添った対応をできるかがカギとなります。
OJT業務 ※トレーナー職のみ
新人の座学研修とOJT研修のお手伝いを行います。
2か月間にわたる座学研修では、ロールプレイングを行うため、トレーナーがお客さん役となり現場に出られるように指導を行います。
OJT研修では1:1もしくは2:1(新人:トレーナー)で実際に新人にお客様の応対を行います。
トレーナーは横からサポートをする立場となります。
耳打ちやメモを横から差し出す、場合によっては電話を代わる等、状況や新人にあわせてやり方を変えていきます。
終業時にはまとめのフィードバック、上司や他トレーナーに向けて引継ぎのための報告書も作成します。
時給・シフト
時給
時給は1400円~1800円で、さらに曜日や時間帯・年末年始などの時期によってインセンティブがつきます。
ちなみに緊急事態宣言中は最高で時給2300円にまで上がりました。
シフト
私は扶養内で働きたかったため、17時~21時で週3回の勤務でした。
24時間365日稼働のセンターであるため、朝から働くことや深夜に働くことも可能です。
身についたスキル
電話マナー
敬語の使い方や電話のマナーなど、分かるようで大学生では意外としっかり習っていない部分が身に付きます。
マナーを意識できているというだけで大学生だと周りと少し差がつくため、就活では人事からの印象がアップします。
タイピング力
コールセンターでは話しながら言われたことをキーボードで入力するため、トーク力とタイピング力を兼ね備える必要があります。
私も最初は入力が間に合いませんでしたが、数をこなすにつれ早く入力することができるようになったと思います。
パソコンはどの業界でも使われることから、早く入力ができるようになって損することは全くありません。
現状把握力・分析力
これはコールセンターというより、私が働いていた企業に特化したものかもしれません。
定期的にモニタリングテストが行われており、自分の作業スピードも数字として見ることができるため、自分の課題が特に分かりやすかったです。
さらに上司との面談が多く、問題に対してどう対策すべきか、何を目標にすべきかを考えさせられることから、現状把握力と分析力、それに対する策を練る力が向上したと思います。
そしてトレーナーに昇格した後、その分析力は自分のためだけではなく、新人相手にも発揮できたと感じています。
良かったこと・大変だったこと
良かったこと
続けて良かったと思ったのは就活でした。
面接では予想していない質問に対してもスムーズに受け答えができ、常に堂々としていられました。
何千組ものお客様を相手にしていると知らないうちに自信を持って堂々を話すことができるようになります。
話し方や敬語に関してもコールセンターの時と同じように行うことで好印象を持ってもらえました。
コールセンターの中でも事故受付業務は学生では珍しいため、ネタとして注目されることも多かったです。
私は就活に上手く使えるようにとコールセンターで働いていたため、努力の結果が見えたように思いました。
また、働く環境も良かったと思いました。
駅直結の高層ビルで、トイレや休憩室が常に清潔で居心地の良い空間だったと思います。
またコールセンターの椅子は一回も体が痛くなったことがないくらい高品質のものでした。
大変だったこと
常に緊張感を持って挑むため、精神的な疲労が大きいです。いつクレームに発展するか、対応を間違えないか不安な中なので、私は1日5時間勤務が限界だと感じてしまいました。
そして、やはりクレームに当たる可能性もあるため、メンタルの弱い方には向いていません。
個人的には他のコールセンターよりクレームは少なく、上司もすぐサポートして下さるので良い環境ではあると思いますが、それでも耐えられなくなる人もいるかと思います。
ただ私は適性検査でストレス耐性が低いと言われるほどでしたが、考え方を工夫することで乗り越えてきました。
お客さんについて
良かったお客さん
単純に「ありがとう」が言えることは大切だと感じさせられました。コールセンターのアルバイトにとって、「いい客」のハードルはかなり低く、しっかり話が通じるだけでもありがたいと思ってしまいます。
事故に遭い、大変な中でも他人に気を配ることができる人は本当に素晴らしいと思いますし、自分もそうでありたいです。
大変だったお客さん
業務目線だと、保険会社を間違えてかけてこられるのが1番対応に苦戦します。自分のミスで探し出せないのか、それとも保険会社を間違えているのかが分からないからです。
しかし、間違えている人のほとんどが自賠責と任意を勘違いしている人なので、車に乗る際は親名義でもどこの任意保険に加入しているか知っておいてほしいです。
人目線だと早口の方や訛りが強い人は特に大変でした。
氏名や地名を伺うので、せめてその時だけでも聞き取れるような話し方だと有難いです。
なぜトレーナーに昇格できたのか
トレーナーに昇格するには好成績を残すことが必要で、「成績」とは処理スピードの速さ・対応に関するアンケート評価・出勤率・勤務態度からランク付けされるものでした。
私はヒアリングに注力し、声のトーンを少し上げることで好印象を持ってもらえるように努めていました。
対応アンケートにも初めての事故で困っていた時に親身になって対応してもらえた、という旨の内容が多くを占めていたと思います。
辞めた理由
3年も続けていたのにやめてしまった理由は、就職先が決まったことからその業界の勉強をしたいと考えたためです。トレーナーという立場まで登り詰めたこともあり大半の作業は1人でこなせるようになっていたため、残りの大学生活は実際に就職先の業務に直結する内容の方が有意義な時間になると思いました。
また、近年は台風などの災害も多いため、忙しさと時給が見合わないと思ったことも辞めた理由の1つです。
さいごに
コールセンターといえば、「高時給だけどクレーム多い」というイメージが強いのではないでしょうか。
しかし事故受付のコールセンターでは、圧倒的にクレームより感謝されることの方が多く、これは事故受付という社会的になくてはならない存在だからこそだと思います。
お客様は事故に遭い、普通の状態よりもセンシティブな気持ちの方が多いため、いかにうまくお客様の気持ちを汲み取った上で対応できるかが重要です。
最初は大学生がこの仕事できるの?と驚くほど難しい業務ではありましたが、今でも働いて良かったと思えるほど成長を実感しています。
初めてのアルバイトだった私でもしっかり1人で仕事ができ、人に教えられるまで成長できたため、就活のネタを探している方や高時給で自由に働きたい方はぜひチェックしてみて下さい!
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