2021年8月17日勉強会レポート SAP入門編(参加者執筆)①

社内勉強会

2021/08/17にSAP入門編として行われた勉強会レポート。

SAPはとても覚えることが多い中で、基本となる4つのこと、他に関連すべき内容4つについて。

これからSAPを学んでいく中で理解しないと今後に影響する部分。

 

4つの基本

①SAPのシステム構成

ⅰサーバー、インスタンス、クライアント

SAPにはSAPを設置するためのサーバーがあり、その中にインスタンス、さらにその中にクライアントと呼ばれるものが存在する。

イメージしやすくマンションで例えると、サーバー=土地、インスタンス=マンション、クライアント=マンションの各部屋。

基本的に1サーバーに対して1インスタンスが基本だが、1サーバーに対して複数のインスタンスが存在する場合もある。

 

ⅱクライアント依存と非依存

データの反映させ方の違い。

サーバーの中にはインスタンス、クライアントが存在するとあったが、もともと存在しているサーバーから別のサーバーへデータを転送するときに(移送)、インスタンスという建物全体に反映させるのか、クライアントという部屋単位の反映なのかの分け方を依存・非依存という。

 

クライアント依存オブジェクト:
サーバー間でデータを転送するときに、各クライアントの中に存在するオブジェクト(わかりやすく言うとデータ)をインスタンス全体では無く、各クライアントに(部屋ごとに)転送する。
クライアント非依存オブジェクト:
サーバー間でデータを転送するときに、インスタンスレベル(建物全体)で転送する。
SAPという建物全体に影響の出るイメージ。

 

ⅲ移送

プログラムなどの開発物を異なる環境へ転送する仕組み。(移動というよりはコピー)

なぜ移送という作業があるのかというと、次のシステムランドスケープという構造が存在するから。

 

ⅳシステムランドスケープ

一連のSAPシステムの構成。

SAPに限らず何かを開発するときには手順がある。

プログラム開発や設定をし、テストをしてクリアしたものをお客さんに利用してもらうが、それを一台のシステムで行うわけではない。

プログラム開発・設定用の開発機、テストするための検証機、テストをクリアしたものを反映させた本番機とわけている。

この開発機、検証機、本番機というSAP構成をシステムランドスケープという。

※開発機・本番機の2システムランドスケープという構成もあるが稀

 

②データ

SAPには3つのデータが存在する。これは基本クライアント依存オブジェクト。

 

ⅰパラメータ設定

SAPの動作、機能を決定づけるもの。後程出てくる組織コードに関わる重要なこと。

 

ⅱマスタデータ

パラメータ設定で決められたものを参照したもの。

よく使用するデータにコードを振って、ミスや入力の手間を省く機能。

 

ⅲトランザクションデータ

システムが扱うデータの種類の1つで取引データや仕訳データのこと。

*トランザクション(transaction)=(商)取引

 

③オブジェクト

  テーブルやプログラムの総称。クライアント依存とクライアント非依存とわけられる。

 

④組織コード

SAPを利用する企業やその部門をシステムに当てはめてSAPで表示するためにコード化したもの。

マスタデータやトランザクションデータに大きく影響する非常に重要な部分。

 

パラメータ設定

SAPシステム動作を決めること。

パラメータ設定は単純ではなく覚えることがたくさんあるのでまず基本的なことから理解をする。

パラメータ設定の説明・設定画面の機能をSPRO(エスプロ)といい、ベンダー同士で説明する時に簡単に意思疎通が図れるように、SPROというのはとても大事。

 

パラメータ設定は設定自体をやればアクティブになるものもあれば、複数のパラメータ設定を紐づけてアクティブになるものもある。

各モジュールにはヘルプと呼ばれる機能の説明などを表示できる部分があり、よく理解して設定し、学んでいくと良い。

 

※パラメータ設定の注意点

SAPをインストールした時点で存在するパラメータ設定のサンプル(設定のガイドライン)の変更削除などは絶対にしないこと。

後から追加したパラメータ設定は必ず明示すること。基本的にはYやZ始まりのコード登録をする。

 

ベーシスとは

①ベーシスとアプリケーション

ベーシスとはSAPの動作基盤となる基礎部分のこと。

ーシスを動作基盤とし、目的別に作られた機能をアプリケーション(アプリ)という。

iPhoneに例えると、iOSがベーシス、LINEなどがアプリケーション

※SAPはミドルウェアであることに注意

ベーシスがあることでSAPを稼働させることができる。

 

②インスタンス、クライアント

③システムランドスケープ

④クライアント依存オブジェクト、クライアント非依存オブジェクト

 

⑤移送、移送依頼

4つの基本の振り返り。

移送はすべてを丸々移送するわけではなく、移送依頼のレベルで行われる。

移送依頼のレベルとは、複数あるパラメータ設定やプログラムを同時に移送するのか、別々に移送するのか機能ごとに移送の度合いをわけること。

この移送依頼をリリースといい、インポートとエクスポートとある。

 

⑥インスタンスとクライアントの例

ⅰ開発機

開発機とはパラメータ設定やプログラム開発、テーブルのオブジェクト登録、クライアント非依存オブジェクトの設定登録を行い、動作確認するためのもので、システム構築のかなめになるインスタンス。

開発機クライアントの種類…パラメータ正環境・Add-on開発環境・サンドボックス

 

ⅱ検証機

検証環境、テスト環境といい、システムに施したパラメータ設定、アドオン開発したプログラム等の検証を行う。

検証機クライアントの種類…ベンダ検証用クライアント、ユーザ検証用クライアント、システム間連携テスト用クライアント、移行リハーサル、性能テスト用クライアント、マスタクライアント。

 

ⅲ本番機

SAPを導入する企業が実際の業務運用で利用するインスタンス。

本番機クライアントの種類…本番クライアント、負荷テスト用クライアント、マスタクライアント

 

SAPオブジェクト

オブジェクト…プログラムやテーブルの総称

 

①パッケージ

SAPに存在する様々なオブジェクトのイレモノのこと。

SAPにはたくさんのプログラムやテーブルが存在しておりその数は無限にあり、それぞれのプログラムやテーブルを見分けるために、パッケージにID(財務会計・販売管理など)を振って、目的や後から追加したもの、作成者などの情報を分かるようにする。

オブジェクトは一個のパッケージにのみ存在する。

 

SAP導入プロジェクトは、複数のITベンダーより選ばれた立場や役職などが全く異なるメンバーが集まって行われ、ベンダーごとにパッケージを作成する。

複数あるパッケージの中で不具合や問題が発生した時、どのベンダーが作成したのか、責任の所在を明らかにするためにパッケージで分けている。

 

②パッケージの種類

プログラムやデータベースを作成する際にパッケージの種類をSAPが質問してくる。そこでパッケージを選択する。

 

ⅰSAP標準パッケージ

SAPをインストールした時点で存在するパッケージ(ド標準)。

この標準パッケージの中身の追加・変更・削除は絶対に行ってはならない。【移送対象】

 

ⅱアドオンパッケージ

SAPをインストールした時点では存在しないパッケージで、顧客の要件によって追加する。【移送対象】

 

ⅲローカルオブジェクト

動作確認や検証を目的とした一五次的なオブジェクトを格納する際に指定するパッケージで、$TMPという固定値が付く。【移送対象外】

 

③SAP標準の定義

ⅰド標準

SAPをインストールした時点で存在するオブジェクトやデータ。

 

ⅱSAP標準

SAP標準のパラメータ設定のうち、SAPインストール後にユーザの希望をSAP標準の仕組みを利用して定義を追加(アドオン)したオブジェクト。

*アドオン:SAP標準にない発想や要件で定義された、オブジェクトやデータ顧客の業種または会社特有の業務要件やシステム要件で実装するもの。SAP標準とは関係ない。

 

④代表的なSAPオブジェクト

 プログラム系とディクショナリ系に分かれており、それぞれ複数のオブジェクトが存在する。まずは存在だけ覚える。

 

⑤テーブルIDとトランザクションコード

先述した通りSAP導入プロジェクトは様々な人が集まって行われる。

これは日本人だけでなく、海外企業・外国人籍の場合もあり言語も異なるが、コードやIDは世界共通言語であり、コミュニケーションツールとしてとても重要なため、作業効率UP、ミスなども減らすことができるので、覚えておくべき部分。

 

組織コード

組織コードはSAPを導入する企業やその事業、構成する部門などをSAP上にマッピングした項目のこと。

パラメータ設定とかかわりが大きく、マスタデータを管理する切り口。

トランザクションデータに保持し、データの集計や権限制御を行うなどとても重要な機能。

 

組織コードの特徴

①モジュール間の繋がり

モジュールごとにコードを設定して、それぞれの組織に必要なデータを切り分け、システムの動作をコントロールできるようにする。

 

②マスタデータの構造…多段階構造

多段階構造はSAPで多く使用されている構造であり、その切り口として組織コードが採用されている。

共通部分はその部分だけで集中管理し、組織別に必要なデータを管理しデータ保持の両立を実現する。そのために組織コードは拠点、部署、支社など細かく分けられる。

 

③組織コードの細分化

組織別に異なる動作やルール、規定、組織別データを保持しないと成り立たないものを適切に管理するため。

また目標達成などのために会社全体のデータだけでは意味がない。部署ごとの成績管理を適切に行うため。

大きい会社であれば内部統制のためにも組織の細分化が必要になる。

 

感想

SAP入門編として初の勉強会であったが、初めて聞く言葉ばかりで難しく感じた。SAPの用語もそうだが、前提となるITの知識も必要。

まずはおおまかなSAPというもの知るために一通り内容を読んで、さらに中身を理解するために数回の復習とそれぞれの関りを理解できるようにする。

また用語・ID・コードと複雑に絡んでいくなか、重要なコミュニケーション言語になる部分なので、絶対に覚えるべきと言われたポイントは特に気を付けるように心がける。

さらに絶対行っていけないSAP標準の設定を変更することなども、まず理解して、プログラムに触れる時に思い出せるように、定期的に復習が必要だと感じたし、自分なりの理解・復習まとめをさらに作成してみようと思う。

 

総帥コメント

SAP初めて&IT初めてという状況では、専門用語がたくさん登場することもあり、少し難しかったかと思う。

ただ、SAPを学んでいく上で必須となる部分なので、繰り返し読んで繰り返し理解を深めてほしいかな。

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