【東銀座 寿司】紀之重 新館(きのしげ しんかん)

十年来の友人であるKたんと、久しぶりの飲みだ。
ある時は週一で2年以上飲んでいたりしたのだが、ここ最近はお互い忙しく間が空いており、随分のご無沙汰だった。

この日は、彼の希望で紀之重 新館(きのしげ しんかん)へ。
築地でシースーです。

彼は私より7つも上なのだが、上京してから最初の現場で仕事を教わって以来、勝手に師匠と呼んでいる。
タメ口だったり頭を引っ叩いたりもするけれど、彼はもちろん最初の現場で世話になった連中がいなかったら、私は今こうやって飯を食えていないだろうと思うと、感慨深いものがある。


まぁ、そんなセンチメンタルも寿司の前ではどうでもいい。
今宵は久方ぶりの、ちゃんとした寿司屋だ。
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まずは前菜。どの野菜も、火加減、下仕事、味の具合もいい塩梅。
次に鱧。火を通しすぎない良い仕事。ジュレも良い。
三品目はバフンウニの茶碗蒸し。なかなかバフンは食べられないので、有難い。
ムラサキもよいのだけれど、甘味と旨味では、やはりバフンが圧倒的。

以下は握り。
個別のコメントは敢えてしないが、これが上記のお皿込みで6000円という破格なのだから恐れ入る。
ネタは、はっきり言って頂上級。魚介には煩いと自負しているが、ネタについては全く何の文句もない。
これ16貫プラス酒を結構ガンガン飲んでも1万円と少しだったのだから、相当に素晴らしい店だと思う。

しかし、これだけネタが素晴らしいだけに、職人さんの仕事が雑だったことが残念でならない。

ソフトモヒカンっぽい頭をした一番偉そうな人が握ってくれたのだけれども、
いかんせん仕事が粗い。

例えば、カボスを多用していたのだが、絞る度にKたんに思いっきり飛んでいたり(暗に指摘したが、意に介していなかった)、「握り直し」がやけに多かったり。極めつけは、

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これ。
江戸前の寿司を自称しているならば「握れないものは、握らない」でなければならないはずだ。
しかし、牡蠣の握りを出して、思いっきり転倒してしまっている。もちろんネタ自体は素晴らしい岩ガキだったのだが、これはちょっと江戸前の寿司を自称しちゃいかんでしょう。

悪く言うつもりはないです。

ネタの良さを加味すれば考えられないくらい安いし、客を飽きさせないトーク力もある。酒も良いものを置いているし、よく勉強もされているようだ。
しかし、それだけに仕事の粗さ・雑さが目立ってしまって、なんだかとても勿体ない。

自家製のガリ、ホタテ、赤味、バフン等。素晴らしかったです。
それだけに、「丁寧さ」が欠けているだけでこんなに残念になるのかと寂しい気持ちになってしまった。

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