【内幸町 中華】聘珍樓(へいちんろう) 日比谷店

あわび 中華・点心

内幸町の富国生命ビルにある、日比谷 聘珍樓
落ち着いた空気と極上の料理、かといって肩肘張らない雰囲気がいたく気に入り、数年前から定期的に利用している。

いつもは広い窓際のテーブル席で夜景を眺めながら舌鼓を打っているのだが、今回は子連れなので個室を手配して頂いた。

家族連れにとって存外に重要なのは「他の利用者に迷惑をかけないよう心掛けること」だが、更に重要なのは、「他の利用者に迷惑をかけまいと、落ち着かない思いをしてしまうこと」を避けること。
せっかくの上質なディナーだからこそ、落ち着いて食べたい。少しばかりの追加料金はあるが、そのためならば惜しくはない。

さて、本日もいつも通り「極上海鮮コース」。
たまに違うものをオーダーすることもあるが、魚介にアレルギーのない人には、とにかくこれがオススメしておく。


こちらがお品書き。見ているだけでテンションが上がってくるのが、わかる。
お品書き
一皿目、「季節の前菜盛り合わせ」。
やはり良い店はお通しや前菜にいい加減なものを出さないわけで、それがよくわかる一皿。この日は、中華サラダに定番のクラゲとピリ辛の鶏肉が特に良い。ビールがすすむ。
前菜
次は、「酔っぱらいエビ」。
生きているエビを鍋に入れ、そこに紹興酒をドバドバ注いで酩酊させる。
当たり前だが、ムリムリムリ!と言わんばかりに跳ね回っている。
酔っぱらいエビ、酔わせ中
火を通して、完成。
これに特製のタレをつけて頂くのだが、ちょっと待ってほしい。
まさか、これだけの料理を前にして、ただ殻を剥いて身だけ食う気か!?
エビミソはどうなる!!
女子供は好きにすればよいと思うが、男だったら黙って頭からそのまま喰らえ。
殻だって旨い。
なお、生姜のスープも出してくれるのだが、これが実に体を温めてくれる。
暑い季節だからこそ冷たいものの取りすぎやエアコンで冷えすぎたりするが、すぐに効き目があるのが分るほど。
酔っぱらいエビ、完成後
三皿目は、「活〆白イカの湯引き 山椒の香り」。
これも実に旨かった。イカへの火の通し具合、山椒のきかせ方。
香辛料は、少し間違うと素材の繊細さを台無しにしてしまう面もあるが(だからこそダメな食材をなんとか食べるために使ったりもするのだが)、本当に良い加減だった。
イカの焼き物
四皿目、「姿フカヒレの陶板仕立て 濃厚鳥スープ」。
この店、このコースといえば!!のうちの一皿で、何度食べても感動が薄れない。
フカヒレ自体もさることながら、スープともやしが実に旨い。
もやしは、どちらかといえば貧乏食材に属するとイメージされることが多いかと思うが、ヒゲを取ったもやしがこんなにも上品な食感になるとは、まさに脱帽。
フカヒレの陶板焼き
次は、「自家製豆腐花」。
フカヒレが濃厚だったので、味覚のリセットにすごく良かった。
が、このあたりで子供たちが飽きはじめて騒ぎ出す。
豆腐
六皿目、「やわからく蒸した活アワビ 紹興酒ソースで」。フカヒレとともに、このコースといえば!!のツートップだ。
アワビ旨いー、しか言葉が出ない。
ソースもたまらないし、つけ合せの野菜にも抜群に絡む。
そして、なんといっても肝だ。
酒飲みは、これを食べる前に紹興酒かワインに切り替えておいた方がいい。
ビールやシャンパンでは負けてしまう。
あわび
シメは、「伊勢海老の香りいっぱいの煮込み麺」。
確か秋田こまちを原料にしたコメの麺で、形状はきしめん、食感はうどんに近かったと記憶している。コメの麺ということで香りも確かめてみようと試みたが、その前にタイトルに偽りなく伊勢海老の香りがいっぱい。
かといって押しつけがましいでもなく、まろやかに味と香りと食感が踊っている。
このあたりで嫁がおなかいっぱいになり、この旨い旨いシメを二人前食す。
シメ、秋田小町を使ったコメの麺を伊勢海老とともに
そしてデザート。「カエルのコラーゲン入りココナッツミルク」。
蛙といっても、グロ系ではないのでご安心を。
世界的に見ても食用とされる例は少なくないし、中国ではある種の蛙は珍重されると聞いたことがあるが、まさか今日私の胃袋に入るとは思っていなかった。
デザート、外観
コレが「カエルのコラーゲン」のアップ。
さんざん旨いものを食べてご機嫌だったこともあるが蛙がどうのと気にせず平らげ、ココナッツミルクとタピオカが、これまた上質だった。
デザート、蛙アップ
そしてオマケ。
この日、別段の他意はなくスタッフの方と嫁が「来週息子の誕生日なので、お祝いに来たんです」なんて話をしていたら、こんなサプライズを用意してくれた。
こういうのは、正直かなり心に来るものがある。
3歳になる寸前の息子は照れて言えなかったが、代わってここで言わせてもらう。
聘珍樓のスタッフの方々、ありがとう。
バースデイサービス
さて、これが暗くなる前の窓からの風景だ。
この時点でかなりいい。
外の眺め、暗くなる前
ちょっとフラッシュで室内が移りこんでしまっているが、夜景がとても綺麗なのがわかっていただけるだろうか?
景色だけでなく雰囲気もとても良い。
かといって緊張を迫られるようなお作法に煩いわけでもないところが素晴らしい。
夜景、暗くなった後
ここに誰かを案内して、評価がイマイチだったことは一度もない。
久しぶりに会う友人とでもいいし、狙っている女性とでもいい。
お互いに満足して「本当に、美味しかったね」と言いあうことができるかと思う。

さて、恒例のダメ出しだが、

  • 高い。その辺の居酒屋に来る気分なら、やめた方がいい。
  • ガヤガヤした店で肩を叩き合いながら「ガハハハハ!」とやりたいなら、もう少し歩いて新橋までどうぞ。そういう人には、あまり向かない。
  • せっかく盛り上がっても、すぐ近くにサッと入れる二次会の店がない。そもそも、満足し過ぎてそのまま帰ってしまいがち。

別に一番最後は欠点ではないとも言えるが、意中の女性と進展しそこなったムズ痒い日を思い出してしまったので、今日はこの辺で。

【2012/12/31追記】
先日、友人と今年の納めに行ってきたが、相変わらず素晴らしかった。
急な予約だったにもかかわらず良い席をご用意頂いたこと、いつものお姉さんがいつも通り気持ちよく過ごさせてくれたこと、全てに感謝する。


本日のお品書き。
来たら殆ど食べていた「極上海鮮コース」の名称が変わったらしいが、内容は概ね共通しているようだ。
上に貼った写真と共通するお皿の写真は省略。
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「旬の素材を使った前菜盛り合わせ」。
やはり最高。この時点で、かなりの満足度。中でも、食べられると思っていなかったシラウオとニンニク風味の海老が頭一つ抜けていた。
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「青森県産カワハギのピリ辛風味」。
あまり美味しそうに写真が撮れなかったことに少し落ち込む。
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こちらは、身の部分をスパイスや野菜と和えたもの。
プアな表現になってしまうが、ポテチ系ジャンクフードの高みにある味という趣・・・と書くと旨そうに聞こえないとは思うが、実に妙なる味なので、是非お試し頂ければと思う。
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肝の揚げたものと、骨せんべい。
カワハギと言えば肝醤油だが、揚げるとこういうことになるのか!!と感動。
骨せんべいの方はハードフライにしてあり、バリバリいける。
友人は何故か急にできた口内炎に悩まされていた。
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「吉浜産干し鮑のやわらか煮込み」。
いつもながら最高です。
しかし、添え物のひとつにベーコンが使われており、これは頂けなかった。
もちろんモノ自体の味は悪くないのだが、口に入れるとアワビの風味もソースの味もベーコンの香りに負けてしまい、次の一口もベーコンになってしまっていた。
蛋白質を合わせるなら湯葉があるし、肉に拘るなら鳥ササミの方が絶対に良かったと思う。
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「北海道野付産天然ホタテの蒸し物」。
写真を撮るのを忘れて少し食べてしまった後。
蒸し加減もニンニクの効かせ具合も申し分ない。
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「兵庫県産勢子蟹のチャーハン」
蟹のチャーハンとはメニューにあったが、こういうスタイルで出てくるのかと良い意味で裏切られる。
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勢子蟹。
私はその辺の料理人よりも多くの蟹を食べてきたと思うし、それ故に蟹の味には煩いつもりだが、これは実に旨かった。
そもそも勢子蟹を初めて食べたが、文句のつけようがない。
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そして身を食べ進んで出てきたのが、これ。
蟹好きには堪らないベストショットが撮れたと思う。
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多少記憶が曖昧だが、金木犀のアイス、クワイもち、タピオカの焼きプリン。
初めて食べたクワイもちも良かったが、格別だったのがタピオカの焼きプリン。
感動すら覚えた味。
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さて、以下は酒コーナー。
このお店の料理は、ワインで頂くのも決して悪くない。
しかし、美味しいワインを飲める店は数多くあるが美味しい紹興酒を飲める店は数少ない。
というわけで「古越龍山」。
10年と(たしか)30年があるが、順番にいって飲み比べしようぜ!ということで10年に。
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飲み終わり、次に行こうかというところで何かのはずみでチャイニーズスピリッツに興味が移る。
改めて見ると、結構お高いもんだなとしみじみ。
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メニューにある三種類の飲み比べ。
私はどんな酒でも飲めるので楽しめたが、どれもキツい!
50度はあるだろうか?
お姉さんの話によると、中国人はこのキツい酒を乾杯するたびカパカパ空けるのだそう。
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ボトルを持ってきてくれたので、記念撮影。
どれも嫌いではない味だが、繰り返しになるがとにかくキツい!
胃腸はかなり丈夫な方だし、飲み過ぎても肝臓に負荷がかかる程度で済んでいるが、流石に次の日は胃が荒れた。
美味しいのは間違いないけども、体が丈夫でない人は程ほどに。
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最後に、フカヒレを前のバージョンに戻してくれることを切に願う。

【2018/03/20再訪】

【2022/05/27再訪】

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